2005 Fiscal Year Annual Research Report
情報科学的アプローチによるタンパク質間のソフトな相互作用の解析法及び予測法の開発
Project/Area Number |
17048011
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤 博幸 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70192656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隈 啓一 京都大学, 化学研究所, 科学技術振興研究員(常勤形態) (10221938)
市原 寿子 京都大学, 化学研究所, 科学技術振興研究員(常勤形態) (50362398)
大安 裕美 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任講師 (40362397)
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Keywords | 共進化 / ミラーツリー法 / 射影演算子 / 古細菌 / 極性脂質 / phosphatidylserine / phosphatidylethanolamine / 遺伝子順序 |
Research Abstract |
本年度は2つの研究をまとめた、昨年度本研究課題の成果についての日本語総説を書いた。 (1)2つのタンパク質が相互作用しているか否かの予測法の一つに、距離行列の類似度を相関係数で評価するミラーツリー法がある。しかし、ミラーツリー法の予測には擬陽性が多い事が知られていた。我々は、この擬陽性が生じる原因として、ソースの進化的情報が評価されるためではないかと考えた。そこで、距離行列をベクトルの形で表現(系統ベクトル)した。次に、いくつかの方法で生物の種間関係を表す単位ベクトルを求めた。この単位ベクトルを用いて射影演算子を構築し、それを各タンパク質の系統ベクトルに作用させることで、系統ベクトル中の生物の種間関係では説明できない(単位ベクトルに直交する)残差ベクトルを求めた。この残差ベクトル間の相関係数を計算すると、擬陽性を大幅に減じることができた。 (2)タンパク質間相互作用予測法の一つに、オペロン内の遺伝子順序の保存を調べる方法がある。古細菌の極性脂質合成で働く酵素の一つPSSは複数の膜貫通部位を持っており、膜に挿入された形でPSの合成を触媒している。細菌によってはPSを基質としてPEという極性脂質を合成するものがあるが、そのためにはPSDという酵素が必要である。我々はゲノム既知の古細菌及び真正細菌についてPSS遺伝子の周辺の遺伝子を調べた。その結果隣接遺伝子がPSDのホモログをコードしており、その遺伝子の順序が強く保存していること、すなわちPSSとPSDの代謝パスウェイ上での相互作用がゲノム構造に反映されていることを明らかにした。 (3)昨年度報告したGPCR複合体のインタフェイス予測法についての総説を書いた。また、GPCR複合体のデータベース化や、その論文も作製中である。また、competence系のpheromoneとreceptorの共進化についても解析を進めている。
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[Journal Article] A study on archaeal enzymes involved in polar lipids synthesis by an approach linking the informationabout amino acid sequences, genomic contexts and lipid composition2005
Author(s)
Daiyasu, H., Kuma, K., Yokoi, T., Morii, H., Koga, Y., Toh, H.
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Journal Title
Archaea 1・6
Pages: 399-410
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