2005 Fiscal Year Annual Research Report
重水素交換によるプロトカドヘリンCNR-EC1とインテグリンとの相互作用の解析
Project/Area Number |
17048014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池上 貴久 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (20283939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 健 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (10241241)
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Keywords | プロトカドヘリン / 古典的カドヘリン / 細胞接着分子 / CNR / ECドメイン / 脳神経系 / インテグリン / RGDループ |
Research Abstract |
細胞接着分子である古典的カドヘリンとは異なり、CNRは脳神経系において特異的に発現し、免疫系と同様に体細胞突然変異を通して、多様化組織化の機能をもつ多様化膜分子群として注目されている。 まず、EC1ドメインの立体構造を解析した。低濃度、高pHというNMR測定にとっては不利な条件であったため、構造の質は必ずしも良くなかった。そこで、残余双極子相互作用やさらなるNOEの情報も加えて立体構造の精密化を行った結果、かなりの向上が見られた。古典的カドヘリンの立体構造と比較してみると、全体のフォールドについては似ていたが、機能に関わる重要な部位でかなりの相違が見られた。例えば、古典的カドヘリンにおいて相手方分子のN末端領域を収容するための疎水性ポケットが存在しないこと、インテグリンと相互作用すると予想されるRGD配列を含むループ部分が存在することなどが挙げられる。 上記の相違点は、古典的カドヘリンとプロトカドヘリンの機能の違いに関わる部位と予想されたので、それを追求するための機能実験を行った。N-cadherinのEC1ドメインをCNRのEC1に置換した蛋白質は凝集活性を示さなかった。このことから、CNR-EC1はN-cadherinのEC1とは異なり、同種親和性がないことが明らかとなった。これは、上記のCNR-EC1には疎水性ポケットが存在しないことをよく説明している。また、インテグリンを生やした動物細胞はCNR-EC1と接着した。以上より、CNR-EC1は、このRGD配列を通してインテグリンと相互作用していることが示唆された。現在、各種インテグリンの細胞外ドメインとCNR-EC1との直接の分子間相互作用を観測している。実際にこの相互作用が観測されれば、CNR-EC1は古典的カドヘリンとは異なり、同種親和性ではなく、インテグリンとの異種親和性を通して、脳神経系の形成に寄与していると考えられる。
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