2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17048015
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
伊東 広 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (10183005)
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Keywords | Gタンパク質 / シグナル伝達 / Ric-8 / 膜ラフト |
Research Abstract |
細胞膜のラフトはシグナル伝達、膜輸送などの細胞機能発現の重要な場となっている。受容体、Gタンパク質など多くのシグナル伝達分子がラフトに存在しているが、それぞれの分子の相互作用が、シグナル伝達の効率化、シグナルの脱感作、膜輸送などと、どのように関わっているか不明の部分が多く残されている。私どもは、Gタンパク質Gqと相互作用する分子を酵母Two-hybrid法を用いて検索してマウスRic-8Aを単離した。RIC-8は、線虫の遺伝学的解析から見出された分子であるが哺乳動物細胞での機能についてほとんど明らかになっていなかった。そこで次の研究を行った。 まず、細胞内共発現系とin vitro再構成系を用いてRic-8AがN末側301アミノ酸を介してGαqと相互作用することを明らかにした。またin vitro系でRic-8AがGαqのグアニンヌクレオチド交換反応因子として働くことを確認した。次にsiRNAを用いたRic-8Aの発現抑制実験から、Gq共役受容体を介したERKの活性化と細胞内カルシウム濃度上昇へのRic-8Aの関与を見出した。またGq共役受容体の活性化に伴いRic-8Aが細胞質から細胞膜へ移行することが観察された。さらに細胞膜局在性Ric-8A変異体を発現させたところGq-ERKシグナル経路の促進が見られた。Ric-8AがGPCRの下流において一度不活性化されたGαに結合して再活性化することでシグナルを増幅する新しいタイプのGタンパク質活性調節因子として機能していることが示唆された。 また、神経前駆細胞が誕生した場所から分化して機能する場所まで移動する現象を解析するための実験系を立ち上げた。解析の結果、GqおよびJNKを介するGタンパク質シグナル伝達系が、神経前駆細胞の遊走を負に制御することを見出した。
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Research Products
(2 results)