2005 Fiscal Year Annual Research Report
核膜を介した双方向輸送に関わる蛋白質の多様な相互作用の構造生物学的研究
Project/Area Number |
17048022
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山縣 ゆり子 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (40183678)
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Keywords | 核膜輸送タンパク質 / 構造生物学 / タンパク質の結晶化 / タンパク質の大量発現 |
Research Abstract |
熊本大学谷らによって酵母のmRNAの核外輸送ができない温度感受性株の一つの原因蛋白質として見出されたPtr7はATP/GTP結合モチーフをもつ酵母の生育に必須の新規蛋白質で、核膜を介した核と細胞質間の双方向の輸送に必須であることが示されている。本研究の目的は、この新たに見出されたPtr7のX線結晶構造解析を行い、核膜孔複合体因子の一部に見られ、輸送に関わる蛋白質と相互作用するFGリピート領域と同様の配列をもつ意味やヒトPtr7と相互作用すると考えられている幾つかの蛋白質との核膜を介したソフトな相互作用を解明することである。 昨年度までに大腸菌中でのPtr7の大量調製法の検討で、唯一少量でも蛋白質が取れてくるのはN末にHisタグをもつPtr7を、6M尿素で可溶化、Niカラムで分離精製後、リフォールデリングする方法であったが、この試料は結晶化の再現性が極めて悪いという問題点があった。リフォールディングを伴う精製条件の微妙な違いによる立体構造の差異、不均一性が主な原因と考えられたので、本年度は重点を大腸菌中で可溶化するPtr7の発現系の構築に変更した。通例にしたがって、いくつかの発現ベクターや大腸菌宿主を用いて、培養条件(温度、誘導方法、時間など)を検討した。p Bluescrpt系とpET系ベクターをもとに独自に作成した発現ベクターを用いると発現も比較的よく、可溶化していることが分かったが、タグをもっていないため、精製がうまくいっていない。そこで現在は、まだ試していなかったタグ(MBPやTrx)を付けたPtr7の発現系を構築し、発現、可溶化などを検討している。
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