2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム維持ナノマシン:DNA分解修復を支配するATP駆動モーターの一分子生化学
Project/Area Number |
17049008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
半田 直史 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 産学官連携研究員 (00396855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 一三 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30126057)
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Keywords | 1分子解析 / 生体ナノマシン / 相同組換え / ゲノムの安定化 / DNA二本鎖切断 / 蛋白質-DNA相互作用 |
Research Abstract |
微生物(大腸菌)ゲノムの安定化と相同組換え初期反応に重要な蛋白質の1分子視覚化実験を行った。この蛋白質はRecBCD酵素と呼ばれ、3つのサブユニット(RecB、RecC、RecD)から成る。そのうちの1つ(RecD)に微小蛍光ビーズを付加し、その蛍光を追うことで酵素と顕微鏡下のフローセル中に光ピンセットで固定したDNAとの相互作用を観察した。RecBCD酵素はDNA巻き戻す活性とDNA分解活性をもつが、その活性は組換えの調節配列であるカイ配列(5'GCTGGTGG)で変化し、その変化がRecDサブユニットの喪失によるものという仮説が長い間信じられていた。しかしながら本研究によって、カイ配列以降もRecDサブユニットは解離しないことが明らかになった。また、この酵素がこの調節配列上で一時停滞し、その後その速度を減じることを明らかにした。 細菌の染色体DNAを切断する制限酵素は、その切断によってDNAの喪失、あるいはそれを修復する過程で欠失や逆位、重複を引き起こし、微生物のゲノムを不安定にする。III型に分類される制限酵素の働きを、細菌に感染するファージがコードする相同組換えによって抑制する現象を発見した。この現象は、組換え修復によって切断されたファージゲノムが再生するためであると考えられるが、細菌1細胞に1匹以下のファージが感染する条件(組み換えるべき相手がいない)で見出された。このことは、制限酵素の切断とDNAの複製がカップルしていることを強く示唆し、この制限酵素の生化学に新しい視点をもたらすものと期待される。
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Research Products
(9 results)