2005 Fiscal Year Annual Research Report
3次元ピコメートル計測法による軸糸ダイニン動態の解析
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17049011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上村 慎治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90177585)
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Keywords | ダイニン / 微小振動 / ピコメートル精度計測 / ベン毛軸糸 / ベン毛運動 / 3次元計測 / 精密計測 / 暗視野照明顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、これまでにない非常に高い精度で、マイクロビーズの位置を計測する新手法を開発し、それを精子ベン毛の振動運動解析に応用することである。本年度は、高い精度を得るための以下のような4点の基本的な装置の検討・改良を行った。(1)観察像輝度の改善:レーザー光を一点に集光させマイクロビーズを照明する。本研究では、他の種々の照明系も試みたが、従来型のコンデンサレンズとアキシコンとの組み合わせがもっとも良い成果を得た。暗視野照明とすることも容易で、マイクロビーズからの散乱光のみを結像系に持ち込む事が可能となる。そのため、背景光の発生するショットノイズを完全に無視できるという大きな利点があることもわかった。(2)散乱光特性の解析:観察する像は、マイクロビーズによって生じたミー散乱光である。ミー散乱の特性は、物体のサイズ、波長、入射角で大きくことなることが理論的にも示されているが、上の光学系で観察される暗視野照明下のマイクロビーズ像もほぼミー散乱で説明されるものと同じ挙動を示すことがわかった。今後の光学系改善には重要な知見である。(3)高精度の計測には、観察試料をサブナノメーター精度で移動させる駆動装置が不可欠である。圧電素子をアルミ製のくりぬきバネ式の移動ステージに取り付けることで、一次元のみであるが、正確な駆動機構を作ることができた。この方法を使い、0.2nmほどの位置計測精度が達成されることを確認した。この精度は、測定装置の設計上の実質的な限界ではなく、観察環境に由来する機械的なノイズであることも確認できた。この点を改良することで、さらにもう一桁の位置精度向上も可能であると見積もっている。(4)新しく輝度の安定した赤色レーザーを用いて照明装置を組み立てた。これにより光源の発生するノイズを大きく軽減でき、計測精度を向上させることができた。
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