2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17049015
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宗行 英朗 中央大学, 理工学部, 助教授 (80219865)
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Keywords | 一分子計測 / 生物物理 / 分子モーター / ナノバイオ / 光ピンセット |
Research Abstract |
本研究は回転分子モーターであるF_1-ATPaseに外力をかけて,動的な特性を明らかにするためのナノシステムの構築を目的としている.当初の計画では光ピンセットを用いる方法,DNAを結合させ,それを巻き上げる方法,回転軸となるサブユニットに大きめのビーズを結合して交流電場をかけることによりビーズに分極を誘導し連続的な回転力を与える方法(誘電泳動),の三つの方法を考えていた.本年度は,この中から最後の誘電泳動を選んでその実験系を立ち上げた.実験系の構築,運用などについては桐蔭横浜大学工学部システム工学科の工藤成史教授から懇切丁寧な指導を頂き,予備実験まで行わせていただいた.その結果をふまえて,他の研究資金もあわせ,昨年末に我々の研究室でも実験装置を構築できた.現在の問題点は,1.実際にかかっているトルクをどうやって見積もるか? 2.電流が流れることによる温度変化(回路の抵抗,電圧などを考えると発生するジュール熱はきわめて小さいが)をどのように見積もるか? 3.顕微鏡で観察していると対流のようなものが見えるので,それにどう対処するか,である.これらの問題は残っている状態であるが,F_1-ATPaseに外力をかけて,その応答を見る予備実験も平行して行っている.そこで見えてきていることは,ATPを加水分解しながら回転するF_1-ATPaseは案外小さな逆方向の外力で逆方向に回転してしまう場合と,かなり強い力を加えているはずなのに(上述のようにその力の絶対値は校正できていないが)反対方向には回らない場合があると言うことである.このどちらがF_1-ATPaseの真の姿を反映しているのかは今のところ分からないが,回転それ自体はかなりがっちりした固い仕組みでなくてもできることを示唆しているのかも知れないと考えている.
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