2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17049018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 直樹 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80303816)
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Keywords | 細胞・組織 / 一分子計測 / 生体分子 / ナノバイオ / アクチン重合 / キャッピングプロテイン / 細胞シグナル / 細胞運動 |
Research Abstract |
本研究は、私が見出した手法で、細胞内アクチン線維の重合・脱重合動態を一分子ごとに可視化する蛍光単分子スペックル法(Science vol.295,1083-1086,2002)をアクチンの重合端に結合する主要な分子に応用し、その生化学的性質や制御シグナルの分子機序を細胞内で直接解明することを目的とする。当初の対象として、アクチン重合がその伸展の原動力となっていることが知られる細胞先端の葉状仮足におけるアクチン重合機構を解析した。 現在までに、細胞先導端の主要なアクチン線維調節分子であるAr p2/3複合体とキャッピングプロテインを中心にその細胞内分子動態を解析するとともに、アクチン線維重合・脱重合の数理モデルをたてアクチン改変のメカニズムを検討した。特にキャッピングプロテインに関しては、半減期1.2秒程度の速い分子解離速度を生細胞内で示す予想外の結果を見出した。リコンビナントで作製したGFP標識ヘテロダイマーの生化学的性質と比較することで、その速い分子動態が生細胞内特有の性質であることを確認した。更に、他の反矢じり端結合分子が強くアクチン線維をキャップするか確認する目的で、現在知られている、Eps8,XAIP1,VASP,ゲルソリンについても、cDNAを採取、GFP融合体を細胞内に発現させ、それらの分子動態を観察したが、全てにおいてアクチン骨格系に長時間(数十秒の単位)で結合しているものはなかった。これらの結果は、細胞先端の葉状仮足にみられる樹状突起ネットワークでは、アクチン線維は速やかに脱キャップするメカニズムが存在することを示唆する。 得られた分子キネティクスから数理モデルを構築し、アクチン線維切断が恒常的に細胞の葉状突起内で起きることを確認した。これは、上記の速い脱キャップとともに線維切断といった制御で、細胞伸展縁の動的な細胞骨格制御が可能になっていることが示唆される(投稿中)。その脱キャップ機構について、引き続き検証中である。
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