2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17049018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 直樹 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80303816)
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Keywords | 細胞・組織 / 一分子計測 / 生体分子 / ナノバイオ / アクチン重合 / キャッピングプロテイン / 細胞シグナル / 細胞運動 |
Research Abstract |
細胞伸展縁に形成される扇状の葉状仮足(ラメリポディア)では,その先端のアクチン重合が細胞を伸展させる.ラメリポディアは約180ナノメーターと薄く,XTC線維芽細胞をポリリジンでコートしたガラスに強く接着させることで,単一焦点面内に捉え,アクチン結合分子の動態を正確に観察できる.以前の研究で,葉状仮足においてアクチン線維の約3分の1が,重合後10秒以内に脱重合することを見出し,2002年サイエンス誌に報告した。 今回,我々はアクチン崩壊機構の解明を目標に,ラメリポディアのアクチン線維端に結合する主要な分子であるArp2/3複合体とキャッピングプロテイン(CP)に注目し,その単分子キネティクス解析を行った.驚くべきことに,インビトロではアクチン線維に高親和性で結合するCPが,細胞内では半減期1.2秒の速さでアクチンネットワークから解離していた.これはインビトロのCPの解離速度より3桁も速く,アクチン線維の崩壊速度よりも20倍以上速い.その原因を追究したところ,1)ストレス線維に会合するCPは寿命が長い,2)アクチン脱重合阻害剤であるジャスプラキノライドでCPの解離がすみやかに著明に延長,3)アクチン脱重合因子コフィリンをリン酸化,不活化するLimキナーゼの過剰発現でCPの解離が延長することが見出された.1)〜3)はアクチン線維崩壊を阻害する条件であるが,半減期が30秒のアクチン線維を安定化させることがより速い解離速度をもつCPの解離速度を遅延させるのは,非直感的な現象である.1つの説明として,CPの解離はコフィリンによる線維切断にトリガーされる一方,アクチン線維は再結合によって分解を免れていることが考えられる.これらに基づき,葉状仮足ではアクチン線維は高頻度に切断-再結合を繰り返し,線維端のCPは切断されたアクチンオリゴマーとともにネットワークから離脱する高頻度アクチン線維切断-再結合モデルを提唱した(J.Cell Biol.175:947,2006).
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[Journal Article] Actin turnover-dependent fast dissociation of capping protein in the dendritic nucleation actin network : evidence of frequent filament severing.2006
Author(s)
Miyoshi, T., Tsuji, T., Higashida, C., Hertzog, M., Fujita, A., Narumiya, S., Scita, G., Watanabe, N.
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Journal Title
Journal of Cell Biology 175
Pages: 947-955
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