2005 Fiscal Year Annual Research Report
電子線トモグラフィーを使った微小管・アクチン・膜からなる植物ナノシステムの解析
Project/Area Number |
17049019
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
峰雪 芳宣 兵庫県立大学, 大学院生命理学研究科, 教授 (30219703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐原 一郎 富山大学, 理学部, 助手 (60283058)
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Keywords | 電子線トモグラフィー / 微小管 / アクチン / 膜小胞 / クラスリン / タマネギ |
Research Abstract |
植物の細胞表層に存在する微小管は、間期には細胞伸長の方向制御に、分裂直前には将来の分裂面位置決定に関わっている。これら形態形成に重要な微小管の配向制御にアクチンが関与していることが示唆されているが、植物のアクチン繊維を真実に近い形で保存することが難しいため、いつどのような形でアクチンが関与しているのか不明な点が多い。我々の行っている、厚い組織をそのまま20ミリ秒以内に凍結できる加圧(高圧)凍結法と、超高圧電子顕微鏡を使って3D画像を構築する電子線トモグラフィー法を併用して観察すると、タマネギ細胞表層を〜7nmの分解能で立体的に観察することが可能である。そこで、この方法を使って、従来難しかったアクチン繊維と思われるマイクロフィラメントを再現性よく検出し、タマネギの細胞表層の微小管配向過程に於ける微小管とアクチン、膜系との関係をナノレベルで明らかにすることを目的としている。分裂前期には、微小管は細胞表層に帯状に並び、その位置が将来の細胞分裂面になる。この微小管帯形成をアクチン阻害剤サイトカラシンが阻害する事が分かっているが、その機構は不明である。我々はナノレベルでのこの領域の小胞の定量的解析から、この微小管帯領域にはエンドサイトーシスが活発である事を示唆する事ができた。他の系では、エンドサイトーシスに関与するクラスリン被覆ピットの形成がサイトカラシンで阻害できるという報告があったので、試してみたが、ピットの出現頻度に影響はなかった。ただ、その後の被覆小胞からクラスリンがとれたと思われる小胞の融合で、アクチン繊維が関与しそいる可能性を示す結果が出て来ており、今後の解析が必要である。また、微小管の配向に関与すると思われるアクチン繊維は、普通の状態では1本の微小管に1本しか沿っていないが、低温条件にすると、2本のアクチン繊維が1本の微小管に沿っては走ることも分かった。
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