2005 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起法を用いたSNAREタンパク質複合体による開口放出過程の機能解析
Project/Area Number |
17049028
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
根本 知己 生理学研究所, 脳機能計測センター, 助教授 (50291084)
|
Keywords | 生理学 / カルシウムシグナル / 2光子顕微鏡 / 外分泌腺 / 高性能レーザー / 開口放出 / 生物物理学 |
Research Abstract |
SNARE連関タンパク質など開口放出過程に関係する分子群の動態の理解を進め、画像解析法を開発する為に、副腎髄質クロマフィン細胞初代培養クラスター標本、膵臓外分泌腺初代培養組織標本、膵臓β細胞初代培養標本を用いて、分泌顆粒の動態や、SNAREコアタンパク質が開口放出を誘引する中間過程を可視化し、定量化する方法論の確立を行った。 (1)蛍光SNAP25タンパク質の発現と分布 細胞膜に局在するSNAREコアタンパク質SNAP25とGFPとの融合タンパクを発現するプラスミドを調整し、副腎髄質クロマフィン細胞に導入し、細胞膜に局在するSNAREコアタンパク質の集積状態を2光子断層イメージングと蛍光免疫染色法により比較検討した。また膵臓外分泌腺においても同様の検討をおこなった。 (2)蛍光SNAP25タンパク質の側方拡散 ケージドカルシウム試薬(NP-EGTA-AM体)を負荷させた(1)の標本を、水溶性の近赤外蛍光化デキストランを含む細胞外液で灌流し、細胞外部空間をネガティブに染色させた。蛍光タグ化SNAREコアタンパク質SNAP25を発現した紫外線閃光照射によりNP-EGTAを活性化させ、瞬時に細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させ、開口放出を誘起させた。その結果、副腎髄質クロマフィン細胞初代培養クラスター標本や膵臓外分泌腺細胞において、融合した分泌顆粒膜へSNAP25の側方拡散が観察された。これより、逐次開口放出にはSNAP25の側方拡散が必要であることが示唆され、我々の提唱する逐次開口放出の分子モデル(Nature Cell Biol,2001)を指示する結果が得られた。 (3)TEPIQ法の確立 古典的な光学顕微鏡の空間分解能を下回る細胞内小胞の大きさを定量的に解析する方法論を確立し、TEPIQ法と名付けた。これにより膵臓β細胞におけるsmall vesicleのカルシウム依存性及び非依存性の開口放出過程における動態を検討し、その動態制御機構に関する重要な知見を得た。
|
Research Products
(8 results)