2005 Fiscal Year Annual Research Report
Holliday構造DNAの分岐点移動反応の顕微鏡による直接観察
Project/Area Number |
17049029
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原田 慶恵 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10202269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 俊明 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10239204)
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Keywords | 1分子計測 / 生物物理 / 分子モーター |
Research Abstract |
DNAの相同組換えの過程では十字型構造をしたHolliday構造DNAが形成され、この十字型分岐点の移動により組換えが進行する。分岐点移動反応にはRuvABタンパク質複合体が関与する。RuvAはHolliday構造に特異的に結合するタンパク質である。RuvBは六量体のリング構造を形成し、RuvAを両側から挟むようにしてRuvAと相互作用する。分岐点の移動はRuvBのATP加水分解エネルギーを利用して行われる。RuvAB複合体によるDNA相同組換えの機構を詳細に解析することを目的として、光学顕微鏡下でHolliday構造DNAの分岐点移動を直接観察する系を開発した。 Holliday構造DNAの一端をガラスに固定し、反対側の端に磁気ビーズを付け、RuvABによる分岐点移動時におこることが予想されているDNAの回転をビーズの回転運動として、顕微鏡下で観察することにした。溶液中にRuvABとATPを加えると、予想通りビーズの回転が観察された。ATP濃度を変えて、ビーズの回転を観察した結果、ATP濃度依存的に回転速度の上昇が見られた。Vmax、Kmはそれぞれ1.57回転/秒、65□Mであった。Holliday分岐点がDNA1ピッチ分(10.4bp)進む間にビーズは2回転するはずなので、回転速度から見積もったVmaxは8.2bp/秒である。同じ条件下で、生化学実験から得られたRuvABによる分岐点移動反応の速度は、低濃度ATPにおいては1分子解析で求めた速度とほぼ一致した。このことから、DNAの回転がビーズの回転に正しく伝えられていることが示唆される。しかし、生化学実験で得られたVmaxは20.5bp/秒で、1分子解析の結果の約2.5倍であった。この結果はDNAにつけたビーズが抵抗となることで、分岐点移動の速度が遅くなっていることを示唆している。
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Research Products
(10 results)