2005 Fiscal Year Annual Research Report
X染色体不活性化センターにおけるアンチセンス制御機構
Project/Area Number |
17050023
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
佐渡 敬 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助手 (70321601)
|
Keywords | X染色体不活性化 / アンチセンスRNA / クロマチン / Xist / Tsix / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
私たちはX染色体不活性化の鍵遺伝子Xistの発現がそのアンチセンス非コード遺伝子Tsixを介したエピジェネティックな修飾によって負の制御をシスに受けることを明らかにしてきた.本研究ではTsixによるXistのアンチセンス制御に必要なTsix転写領域を明らかにすることを目的のひとつに掲げ,今年度は,Tsixがその機能を発揮する上で,アンチセンス転写がXistプロモーター領域と重複していることが重要かどうかを検討してきた.ポリAシグナルを挿入しアンチセンス転写を強制的に終結させてしまうことで,Tsixの転写がXistプロモーター領域に及ばないようにしたTsix^<pA>アリルを作製し,マウスに導入した.マウス胚においても,期待通りTsixの転写が途中で終結していることを確認した後,Xistの発現を調べた.その結果,Tsix^<pA>アリルをもつX染色体上のXistの発現が亢進していることが確認され,Tsix欠損X染色体と同様の異常が認められた.さらに,Xistプロモーター領域のクロマチン修飾や構造を調べたところ,Tsixが正常に機能していないことが示唆された.さらに興味深いことに,クロマチン制御に異常が認められたのはポリAシグナル挿入部位より下流の領域であり,それより上流の領域においては正常なクロマチン構造が構築されていた.つまり,アンチセンス転写がおよぶ領域でのみクロマチン構造が正しく構築されることが示唆された. 設備としては,遺伝子改変マウス作製の効率化のためピエゾマイクロマニピュレーターを購入した.
|