2006 Fiscal Year Annual Research Report
核内のヒストンアセチル化を時空間的に観察可能にする蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
17050028
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 昭博 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 研究員 (40391859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 和樹 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 基礎科学特別研究員 (10415169)
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Keywords | 蛍光共鳴エネルギー移動 / 蛋白質アセチル化 / 蛍光プローブ / ヒストンH4 / FRET |
Research Abstract |
蛋白質アセチル化は、ヒストンアセチル化酵素によって正に、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)によって負に、ダイナミックに制御されている。真核生物の染色体DNAは、クロマチンと呼ばれるDNAとヒストンからなる高次構造をとっている。そのクロマチン構造の変化が遺伝子発現のオン・オフを決める役割を果たしていると考えられており、ヒストンのアセチル化はクロマチン構造変化を制御する主要な翻訳後修飾である。そこで、細胞内におけるヒストンのアセチル化及び脱アセチル化を、生きたままの細胞で観察することができ、かつ時間・空間分解能をもった解析を可能にする蛍光プローブを開発した。この蛍光プローブは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を起こす二つの蛍光蛋白質の間に、アセチル化される基質ドメインとアセチル化リジン結合ドメインがリンカー配列によって連結している。この蛍光プローブ内の基質ドメインがアセチル化されると、アセチル化リジン結合ドメインとアセチル化された基質ドメインとの結合により、蛍光プローブの構造が変化する。この構造変化により起こる二つの蛍光蛋白質間のFRETの変化を蛍光強度比変化として検出する。作製した蛍光プローブが生細胞内で内在性のヒストンH4と同様の挙動をし、蛍光プローブのアセチル化をFRET変化に伴う蛍光強度比変化として検出可能であることを示した。本年度、作製した蛍光プローブを用いて各種HDAC阻害剤による生細胞内でのピストンH4アセチル化誘導の違いを調べた。また、この蛍光プローブを用いて、有糸分裂過程におけるヒストンH4のアセチル化状態を観察した。染色体が凝集するとともにヒストンH4の脱アセチル化が起こり、分裂終期の後半には分裂前のアセチル化状態まで回復することがわかった。
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Research Products
(3 results)