2005 Fiscal Year Annual Research Report
核内ドメインへ蛋白をシャトルする新規蛋白MORC3とそのファミリー
Project/Area Number |
17050030
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
井上 徳光 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 部長 (80252708)
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Keywords | MORC / PMLボディ / p53 / Sp100 / 核ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究は、核内に存在する様々なコンパートメントへ蛋白を集積させ、転写などを制御するメカニズムを解明することを目的として行った。GHL-ATPaseドメイン、CWドメイン、核移行シグナル、Coiled-coilドメインを特徴とするMORCファミリー蛋白の1つMORC3は、ATPaseドメイン依存的に、構成的にPMLボディに局在するSp100と、DNA損傷などの刺激によってp53が活性化する際にp53を、PMLボディに局在化させることを明らかにしてきた。 そこで、本年度、さらに、Morc3欠損mouse embryonic fibroblast (MEF)を使って、p53の活性化におけるMorc3の役割を解析した。Morc3は、ヒト正常fibroblastやMEFに細胞老化を誘導するが、p53欠損細胞に対しては、誘導しなかった。また、Morc3欠損MEFに活性型Rasを使って老化を誘導したところ、ほとんどの細胞は、老化誘導されたが、一部老化を免れ、増殖する細胞が観察された。また、AdriamycinによりDNA損傷を与えたところ、Morc3欠損MEFでも正常と同じように、p53は、セリン15やセリン20に相当するサイトがリン酸化され安定化されていたが、下流の遺伝子であるp21の発現は誘導されていなかった。さらに、MORC3のshRNAベクターを用い、MORC3の発現を抑制した細胞にAdriamycinで刺激したところ、p53のPMLボディへの局在化は著しく抑制されていた。それ故、p53の安定化は、リン酸化を通じて核質で起こり、その後、PMLボディに誘導されると考えられた。今後、MORC3がどのような分子メカニズムでPMLボディに他の蛋白を誘導するかを明らかにしていきたい。 本研究の成果を、第28回日本分子生物学会(福岡)および第48回アメリカ細胞生物学会(サンフランシスコ)で発表し、現在、論文として投稿中である。
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