2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアソーム構造変換を介した糖シグナル伝達制御機構の解明
Project/Area Number |
17051001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 淳二 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10183120)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 亮 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00372269)
|
Keywords | 能動的タンパク質分解 / ユビキチン / プロテアソーム / 糖シグナル / シロイヌナズナ / 19S調節複合体 / 細胞周期 / トライコーム |
Research Abstract |
ユビキチン・26Sプロテアソームを介したタンパク質の能動的分解システムは,不要となったタンパク質の分解による除去を行うことで,"品質管理システム"としての細胞内のホメオスタシスの維持に重要である。またこのシステムは,特定のタンパク質の分解することで,様々な生命現象プロセスを誘起するための"分子スイッチ"としても機能することが明らかになってきた。タンパク質分解の実行機械である26Sプロテアソームは,19S調節複合体(19S)と20S活性複合体(20S)から構成される。20Sはペプチダーゼ活性を有するが,20Sの活性調節や標的タンパク質の選択の制御は19Sの調節機能にあると考えられる。本研究では,高等植物の糖シグナル伝達機構においてユビキチン・26Sプロテアソームシステムが関与することが示唆されたため,その解析を行った。 本研究では、シロイヌナズナの19SサブユニットであるRPT2に着目し、その機能解析を試みた。シロイヌナズナのゲノムにはRPT2をコードする遺伝子として、AtRPT2aおよびAtRPT2bが存在する。AtRPT2aは培地中に糖を添加することで、顕著な発現の増大が観察され、ノックアウト変異体(rpt2a)では糖に対して過剰応答を示したことから、AtRPT2aは糖のシグナル伝達経路に何らかの関与があることが考えられた。また、rpt2a変異体では細胞や器官レベルでの様々な形態・発育の異常が認められた。これに対し、AtRPT2bは構成的に発現しており、そのノックアウト変異体(rpt2b)では、rpt2a変異体で見られた表現型は観察されなかった。以上のことから、AtRPT2aをサブユニットとして構成するプロテアソームと、AtRPT2bをサブユニットとして構成するプロテアソームでは機能性が異なることが強く示唆された。
|