2005 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシソームにおける環境ストレス応答および耐性の分子機構
Project/Area Number |
17051010
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加藤 朗 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (70303112)
|
Keywords | ペルオキシソーム / 環境ストレス / 低分子量熱ショックタンパク質 / 分子シャペロン / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
1.AtHSP15.7およびAtLon1の機能解析 (1)シロイヌナズナT-DNA挿入変異体の解析 HSP15.7遺伝子にT-DNAが挿入された変異株hsp15.7を同定した。この変異株は高温ストレス下におけるHSP15.7の転写が完全に抑制されていた。ペルオキシソーム酵素であるカタラーゼおよびグリコール酸酸化酵素について,高温ストレス下における活性変動を測定し,変異株と野生株との比較を行った。その結果,野生株では1日の高温ストレスの後,定常条件に戻すと,低下した酵素活性が3〜5日目にかけて徐々に回復するのに対して,hsp15.7では定常条件に戻した後も酵素活性が低下し続けた。この結果は,HSP15.7の欠損が,高温下におけるペルオキシソーム酵素の安定性に影響することを示唆する。 (2)AtLon1組換えタンパク質の解析 AtLon1のLonドメインおよびATPaseドメインを含む複数種類の組換えタンパク質を大腸菌発現系を用いて合成した。これら組換えタンパク質を用いたin vitro解析の結果,(1)Lonドメインはシャペロン活性のコアドメインであること,(2)Lonドメインによるシャペロン活性はATPaseドメインおよびATPによって制御されること,(3)プロテアーゼ活性はATPによって著しく促進されることが明らかになった。 (3)各種組換えシロイヌナズナの作成 AtHSP15.7およびAtLon1両遺伝子の過剰発現株,RNA干渉による発現抑制株をそれぞれ作製した。 2.新奇ストレス応答タンパク質の探索 公開マイクロアレイデータをもとに,ペルオキシソームへの局在が予想される約300のタンパク質の発現変動パターンを,乾燥・塩ストレスに注目して解析した結果,(1)アシルCoA酸化酵素,チオラーゼなどのβ酸化系酵素,(2)アミン酸化酵素,(3)アミノ基転移酵素,(4)ジャスモン酸合成に関与するOPR3などに顕著な発現増幅が見られた。
|