2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17051013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 澄衛 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (50260039)
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Keywords | シロイヌナズナ / 花粉 / タペート細胞 / ポレンコート / メバロン酸経路 / ジャスモン酸 / リパーゼ |
Research Abstract |
1.エライオプラストとタペートソームの形成機構の解析 HMG-CoAシンターゼはメバロン酸経路を構成する酵素である。この酵素の遺伝子が変異を起こしたシロイヌナズナの突然変異体flaky pollen1-1(fkp1-1)の花粉はポレンコートを欠失し、稔性を失うことから、ポレンコート形成にはメバロン酸経路の働きが必須である。ではメバロン酸経路はポレンコート形成のどの段階に必要なのだろうか。 GUSレポーターを用いたFKP1の発現解析や、タペート細胞特異的プロモ-ターでFKP1遺伝子を発現させる実験から、fkp1-1のホモ接合体ではFKP1の発現が特にタペート細胞で著しく低下しており、それがポレンコート欠失の原因になっていることがわかった。そこでタペート細胞を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ポレンコートの原料を蓄積するタペート細胞に特異的な2種類のオルガネラ、エライオプラストとタペートソームの構造がいずれも異常になっていた。エライオプラストはメバロン酸経路の最終産物の一つであるステロールを蓄積するオルガネラであることから、ステロールが十分生合成できないことが構造異常の原因となっているのだろう。一方タペートソームはステロールを蓄積しないにもかかわらず構造異常がさらに著しく、発達初期の複雑な膜構造の形成にメバロン酸経路の何らかの産物が役割を持っているようである。このほか、同様にポレンコートに異常が現れるcer1,cer3,cer6についても電子顕微鏡による解析を行った。さらに、エライオプラストやタペートソームの主要タンパク質であるFIB、EXLおよびGRPの発現解析と、GFP融合による局在部位の可視化を試みた。 2.ジャスモン酸生合成に関与する葉緑体リパーゼの解析 ジャスモン酸生合成経路の反応を触媒するリパーゼDAD1と、そのホモログDAL1〜DAL6について解析を進めた。異所発現の実験から、少なくともDAL3とDAL6がジャスモン酸生合成に関与する可能性を示した。さらに、花糸で発現させたDAD1-GFPが花糸の葉緑体に局在することを確かめた。
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