2005 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸リレー情報伝達系を介した植物の環境応答とオルガネラ分化統御
Project/Area Number |
17051015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 猛 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (10174038)
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Keywords | 高等植物 / オルガネラ分化 / シロイヌナズナ / 情報伝達 / リン酸リレー / 植物ホルモン / 植物時計 |
Research Abstract |
本年度は、申請した研究課題の内で課題-1-(2)及び課題-2-(2)を推進以下のような成果・進展が得られた。「各種のリン酸リレー系変異植物体を用いてクロロプラストを中心とするオルガネラ分化・動態の解析」では、AHK-AHP-ARRリン酸リレーを介したサイトカイニン応答情報伝達系に関してこの下流に広がる情報伝達ネットワークに関する知見を得るために、各種のリン酸リレー系変異植物体を用いて網羅的マイクロアレイ解析を行った。その結果ARRの下流で働くと思われるサイトカイニン誘導性の転写因子や情報伝達因子の候補を同定することができた。また、サイトカイニン応答性転写因子タイプB-ARRの変異植物体を分離し、カルスからの分化等に関してその表現型を解析した。以上の結果を、サイトカイニンに応答したオルガネラ分化との関連で考察した。 「時計関連因子と相互作用する因子でオルガネラ分化に関わると思われる因子の検索」では、時計の中心振動体TOC1及びフィトクロムの両者と相互作用するPIL因子群の解析を中心に行った。特にPIF3及びPIL5に関して、黄化芽生えの光に応答した緑化(クロロプラストの分化)過程制御との関連に着目して解析した。特にPIF3やPIL5ヌル変異体と時計変異体を組み合わせた遺伝的解析を行った。その結果PIF3やPIL5が暗所におけるクロロフィル合成の制御因子として重要な働きをしていることが示唆された。さらに興味深いことに、その制御機構は時計関連因子PRR因子群やCCA1の働きと密接にリンクしていることが明らかとなった。以上の結果を、クロロフィル合成制御に関して、時計機構や光情報伝達機構と関連付けて考察した。
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