2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物の環環応答センサーとしての光化学系IIPsbpタンパク質の生理的役割の解明
Project/Area Number |
17051016
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊福 健太郎 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (50359783)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 文彦 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10127087)
|
Keywords | 光化学系II / 酸素発生系 / 膜表在性タンパク質 / 環境応答 |
Research Abstract |
タバコ(Nicotiana tabacum)を材料に、高等植物の酸素発生系タンパク質であるPsbO,PsbP,及び、PsbQをコードする遺伝子の発現をRNAiによって抑制した形質転換植物を作出し、それらの生理機能解析を進めた。その結果、PsbOは光化学系II複合体の安定な蓄積に必須であり、PsbPは光化学系II活性の維持、とりわけ暗所における安定なマンガンクラスターの保持に重要である事をin vivoで証明した。一方、PsbQは欠損しても全く光化学系II活性や植物の生育に影響を与えなかった。また、PsbO-RNAiとPsbP-RNAi植物体においては、光化学系Iの量も顕著に減少することを認め、植物の環境応答において重要な役割を果たす光化学系IとIIの量比の調節機構に関しても新たな知見を加えた。 PsbPはNicotiana属において種々のウイルスに感染すると、その蓄積量が減少することが報告されている。そこで様々なPsbPの発現レベルを示すPsbP-RNAiタバコを用いて、PsbPの減少が植物に及ぼす生理的影響をより詳細に解析した。その結果、光化学系II量ではなく、PsbPの蓄積量が光化学系II活性と直線的に比例する事、及び、PsbP非存在下では光化学系IIの反応中心タンパク質であるD1タンパク質の損傷が促進される事を認めた。またPsbP-RNAiタバコでは、PR(Pathogenesis-Related)タンパク質をコードする生体防御関連遺伝子の発現が上昇していた。さらにPsbP-RNAiタバコは強光条件下のみならず、微弱光下や明暗条件下でも葉に壊死班を生じる事を認めた。これらの事実から、PsbP-RNAiタバコでは不安定化したマンガンクラスターが原因となって、PR遺伝子の発現や細胞死につながる情報伝達経路が活性化されている可能性が考えられた。
|
Research Products
(4 results)