2005 Fiscal Year Annual Research Report
ABCタンパクを介したインドール系代謝産物の蓄積に関する液胞の機能分化
Project/Area Number |
17051018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢崎 一史 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00191099)
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Keywords | ABCタンパク質 / オーキシンホメオスタシス / AtMRP12 / 液胞 / IAA抱合体 / グルタチオン抱合体 / アシフルオルフェン |
Research Abstract |
植物に存在する120種を超えるABCタンパク質は、従来知られていた生体異物の単純な排出のみではなく、内在性ホルモンの輸送や他のチャネルの機能制御など、植物の生理的機能に極めて複雑かつ多様に関与することが明らかにされるようになってきた。この研究では、フルサイズABCタンパク質のうち、AtPGP4と、MRPタイプのものの中からAtMRP12を選び、オーキシンホメオスタシスにおける液胞の機能分化の分子メカニズムを解明することを目指している。特に今年度は、AtMRP12に関して集中してその発現特性等について解析を行った。 AtMRP12は液胞膜局在型のABCタンパク質であると予想されているが、組織別の発現を調べたところ、葉では中程度の、根と花では高い発現を示すことが明らかとなった。植物体を使って、オーキシンやサイトカイニンをはじめとする様々な植物ホルモンや関連化合物の処理を行ったところ、むしろ発現が抑制される傾向が認められたが、ジャスモン酸とサリチル酸では逆に発現の上昇が認められた。IAAに対する発現の経時変化を追跡したところ、半日で一過的な発現の上昇が見られ、24時間で定常状態に戻ることが分かった。輸送基質としては、オーキシン抱合体が有力候補であるが、それに先立ち、T-DNAタグラインを用いた生体異物の耐性試験を行ったところ、グルタチオン抱合体として解毒されることが知られるアシフルオルフェンに対して、K.O.ラインは明確な感受性を示し、他のMRP同様、グルタチオン抱合体を少なくとも輸送基質として認識することが示唆された。現在、高発現系を確立するべく準備を進めている。この分子は液胞局在が予測されているが、その実験的証拠をペプチド抗体あるいはc-myc tagを利用した系において証明する予定である。
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