2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるプラスチドバイオジェネシスの制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
17051020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中井 正人 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90222158)
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Keywords | 葉緑体 / プラスチド / オルガネラ / 分化 / 蛋白質輸送 / 蛋白質局在化 / 膜透過装置 / 胚発生 |
Research Abstract |
植物プラスチドを構成する蛋白質の多くは核ゲノムにコードされており、前駆体として細胞質ゾルで合成された後、プラスチドへと輸送される。この輸送にはプラスチド包膜に存在する蛋白質輸送装置やそれと協同的に働くプラスチド内外の分子シャペロン蛋白質が関与している。これまでの解析から、葉緑体が、光照射および葉緑体内のレドックス状態に迅速に反応して、取り込む前駆体蛋白質の種類と量をコントローする過程には、内包膜の輸送装置Ticコンポーネントのいずれかが葉緑体の光照射やレドックス変化に応じて何らかの制御を行っている可能性が高いと考えられる。実際、これまで同定されたTic(Ti110, Tic55, Tic40, Tic20, Tic22)の中には、レドックスの影響を受ける可能性のあるものが知られているが、その機能の詳細は明らかではない。今回、われわれは、膜蛋白質複合体の解析に有効なBlue-Native PAGEや、単離葉緑体への前駆体蛋白質のin vitro輸送実験系を用いて、Tic複合体の構成因子の存在様式の解析やToc複合体との関係、および、Tocを通過してきた前駆体が内包膜でどのような複合体に相互作用しているのかを解析した。さらに、トウモロコシのMuトランスポゾン挿入ライブラリーから、内包膜のレドックス制御を担う因子の候補と提唱されているTic55(Rieskeタイプの鉄硫黄クラスターを結合する)に関するNull mutantを単離し、その形質およびTic複合体の存在様式を調べた。これらの解析から得られた結果は、これまで、Tic膜透過装置やその構成因子として提唱されているモデルは、大幅に修正する必要がある事を示している。さらに最近、葉緑体の分子シャペロンのひとつの欠損により、シロイヌナズナの胚発生が途中で停止することが分かった。この結果は、胚発生過程には正常な葉緑体の発達が必須であることを示しているのと同時に、胚発生過程における制御された葉緑体分化・発達の分子メカニズムが存在することを示唆している。
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Research Products
(5 results)