2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるプラスチドバイオジェネシスの制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
17051020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中井 正人 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90222158)
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Keywords | 葉緑体 / プラスチド / オルガネラ / 分化 / 蛋白質輸送 / 蛋白質局在化 / 膜透過装置 / 胚発生 |
Research Abstract |
プラスチドを構成する蛋白質の多くは核ゲノムにコードされており、前駆体として細胞質ゾルで合成された後、プラスチドへと輸送される。この輸送にはプラスチド包膜に存在する蛋白質輸送装置やそれと協同的に働くプラスチド内外の分子シャペロン蛋白質が関与している。輸送制御に働くと予想されるプラスチド内包膜の蛋白質輸送装置Ticのコンポーネントについては、これまで多くの因子がその候補として同定されてきたが、実際にこれらがTicとしてどのような機能を担っているのか、どのような組み合わせで働いているのか、よくわかっていないだけでなく、それが本当にTicの構成因子なのか、すら確定していない状況にある。われわれの研究室ではこの問題に取り組むため、まず、アイソトープラベルされた前駆体蛋白質を用いて、内包膜のTicに蓄積するような輸送中間体をin vitroで形成させ、そのキャラクリゼーションを行うことに成功した。この輸送中間体を含むおよそ1MDaもの巨大な複合体には、これまでTicの中心的コンポーンネントとして考えられてきたTic110は含まれておらず、まったく新規の複合体である可能性が高い。現在、さらにこの1MDa複合体に関してのキャラクラリゼーションを進めている。一方、鉄硫黄クラスターを有し、輸送制御を担うと提唱されているTicのコンポーネント、Tic55に関して、トウモロコシのミュータントライブラリーを用いてその欠損変異ラインを単離して、そのTic複合体のアセンブリー状態や表現型を調べたが、ネガティブな結果が得られ、Tic55が、Ticの中心的コンポーネントして機能する可能性は低いと考えている。一方、プラスチドバイオジェネシスに必須である鉄硫黄クラスターそのものの生合成に関しては、そのキー蛋白質のひとつで進化的によく保存されたIscAについて、鉄硫黄クラスター中間体がチャージされた状態の結晶構造を、世界で初めて決定することに成功した。
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Research Products
(4 results)