2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ転写系の相関制御による色素体分化プロセスと環境応答系の解明
Project/Area Number |
17051021
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金丸 研吾 神戸大学, 農学部, 助教授 (90260025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 幸男 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 技術専門職員 (60396918)
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Keywords | 葉緑体 / RNAポリメラーゼ |
Research Abstract |
植物細胞では細胞核、葉緑体(色素体)、ミトコンドリアそれぞれにゲノムが存在し、何らかの機構でクロストークしながら遺伝子発現を行って個体機能を統御していると考えられている。ミトコンドリアではT7ファージ型RNAポリメラーゼ(NEP)が機能し、葉緑体ではNEPに加え原始ラン藻由来の真正細菌型RNAポリメラーゼ(PEP)が機能している。シロイヌナズナには、ミトコンドリア局在性のRpo;T1(RpoTm)、葉緑体局在性のRpoT;3(RpoTp)と、ミトコンドリア・葉緑体の両方に局在するRpoT;2(RpoTmp)の3種類のNEPが存在する。オルガネラの発達過程やストレス応答機能を転写ネットワークの側面から捉えることで、人為的な植物機能の制御や環境耐性能の向上につながることが期待される。そこで本研究ではこれら葉緑体転写装置のうちRpoT;2についてその機能的重要性は葉緑体発達初期(発芽期から幼苗期)とストレス応答時に顕在化すると予想し、葉緑体コード、ミトコンドリアコード遺伝子のノザン解析、QPCR解析と、核コード遺伝子のマイクロアレイ解析、光合成活性の測定等を行った。その結果、RpoT;2欠失変異株の葉緑体を電子顕微鏡観察したところ、ストロマラメラが分断もしくは消失した異常な葉緑体が観察され、野生株に比べ変異株では光合成活性が約20%減少していた。また生育初期段階においてRpoT;2変異株では、葉緑体コードでNEP絶対依存性が知られているrpo遺伝子(PEPコアサブユニットをコード)やaccD遺伝子に加えて複数のtRNA遺伝子の発現レベルが低下しており、PEP依存的光合成系遺伝子の発現が遅延していた。逆にミトコンドリア遺伝子については調べた範囲で発現レベルが減少したものはなく、むしろ上昇している遺伝子が存在した。また翻訳阻害剤や光合成阻害剤に対してrpoC2やtRNAの応答性がみられ、発現そのものも応答性もRpoT;2依存的なものや応答性は非依存的なものなど多様性が示された。
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Research Products
(1 results)