2005 Fiscal Year Annual Research Report
タバコの傷害応答戦略としての液胞膜局在性トランスポーターによるニコチン転流機構
Project/Area Number |
17051022
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
橋本 隆 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (80180826)
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Keywords | タバコ / ニコチン / トランスポーター / 液胞 |
Research Abstract |
タバコ葉が害虫により食べられると、その傷害シグナルが根に伝達され、ジャスモン酸を介した情報伝達系によりニコチン生合成酵素遺伝子群が根の先端部分で転写活性化され、ニコチンが合成される。根端で合成されたニコチンは導管を伝わって地上部へ転流され、全草に蓄積する。 1)液胞膜局在性:本年度はNtMATE1抗体(N末端をエピトープとする)を用いた免疫電顕を行った(理研松岡博士との共同研究)。NtMATE1を強制発現させたタバコ培養細胞、およびジャスモン酸処理後の野生型タバコ培養細胞においてNtMATE1は液胞膜に局在した。シグナルは液胞膜の細胞質側に偏在しており、NtMATE1のトポロジーが示唆された。 2)NtMATE1/2発現細胞の同定:NtMATE1プロモーター:GUS発現タバコ植物体とノザン解析により、NtMATE1は根端皮層細胞を中心に根で特異的に発現しており、ニコチン生合成酵素遺伝子発現細胞とかなり重複していた。すなわち、本トランスポーターはニコチン生合成細胞で主に機能すると考えられる。 3)NtMATE1/2発現抑制タバコ系統の解析:RNAi法を用いてNtMATE1/2発現レベルの低下したタバコ培養根系統とタバコ植物体系統を作出した。培養根では根細胞から培地へのニコチンの分泌が低下していた。一方、植物体では根のニコチン含量が若干増加したのに対し、葉のニコチン含量は逆に顕著に低下していた。すなわち、本トランスポーターは生合成細胞から細胞外へニコチンを排出するのに機能していると推察された。 4)NtMATE1高発現タバコ培養細胞の解析:ジャスモン酸処理をしたNtMATE1/2高発現タバコ細胞ではアナタビン(培養細胞で蓄積するニコチン類縁体)の培地中への放出が促進された。
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