2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物の環境応答に伴うカタラーゼの発現とペルオキシゾームへの輸送調節
Project/Area Number |
17051023
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
江坂 宗春 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授 (70151975)
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Keywords | カタラーゼ / ペルオキシゾーム / ペルオキシン / 細胞内輸送 / オルガネラ |
Research Abstract |
カタラーゼは、ペルオキシゾームに大量に集積する酵素にもかかわらず、その遺伝子発現の調節機構や、ペルオキシゾームへの輸送機構についてはほとんどわかっていない。これまでに、ペルオキシゾームタンパク質の多くは、C末端に認められるSKLモチーフ(PTS1)、または、N末端の延長ペプチド(PTS2)が輸送シグナルとなって、ペルオキシゾームへ輸送されることがわかっている。しかし、カタラーゼのペルオキシゾームへの輸送シグナルは未だ不明確である。本研究では、植物カタラーゼのペルオキシゾームへのユニークな輸送シグナルを明確にするとともに、環境に応答して、カタラーゼの遺伝子発現がどのように調節され、どのようにペルオキシゾームへと輸送されるのか、そのダイナミックな分子機構について明らかにすることを目的とする。 本年度は、ペルオキシゾームのマトリクスタンパク質の輸送に関わるペルオキシンPex5p、Pex7p、Pex10p、Pex12pに着目し、カタラーゼのペルオキシゾームへの輸送にどのように関わっているかを解析した。カボチャのカタラーゼのペルオキシゾームへの輸送シグナルについて調べた結果、C末端側から上流の-13--11位のアミノ酸QKLが、内部PTS1様配列として、ペルオキシゾームへの輸送に必要なシグナルである可能性が示された。また、本カタラーゼが弱いながらPTS1レセプターであるPex5pと結合することが、酵母のtwo-hybrid系を用いた研究により示唆された。これらのことから、カタラーゼのペルオキシゾームへの輸送はPTS1タイプによって輸送されると考えたが、Pex5pの発現を抑制しPTS1の輸送が阻害された形質転換タバコ細胞でも、カタラーゼのペルオキシゾームへの輸送は阻害されなかった。また、Pex7pの発現を有意に抑えた形質転換細胞でも、カタラーゼのペルオキシゾームへの輸送は阻害されなかった。一方、Pex10p、およびPex12pの発現を抑制させた形質転換タバコ細胞では、カタラーゼのペルオキシゾームへの輸送が阻害された。これらの結果から、カタラーゼのペルオキシゾームへの輸送には、Pex10p、Pex12pは必要であるが、Pex5p、Pex7pは必要でないことが示唆された。
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