2005 Fiscal Year Annual Research Report
ほ乳類卵巣におけるエストロゲンシグナルの作用と性分化の可塑性
Project/Area Number |
17052021
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
津久井 通 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10333006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 聡 埼玉医科大学, 医学部, 客員教授 (40251251)
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Keywords | 性分化 / エストロゲンシグナル / アロマターゼ / エストロゲンレセプター / 遺伝子改変動物 / 卵巣作用 |
Research Abstract |
ヒトなどに代表されるほ乳類では,性分化の可塑性はどこまで存在しうるのか?精巣の女性化症は,男性の精巣で卵巣に近い機能を持つことが知られている.一方,卵巣における性分化の可塑性については,ほとんど未開の状態である.つまり,本研究テーマとして「ほ乳類卵巣におけるエストロゲンシグナルの作用と性分化の可塑性」について,生殖腺の分化前と分化後に時間軸を区別して,特に生殖腺分化後における女性生殖器での性分化の可塑性について明らかにすることを目的とする. コンディショナルトランスジェニックマウスを作製することにより,in vivoでリガンド非依存型のエストロゲンレセプターcaERαおよびcaERβをそれぞれ独立に発現可能な系を確立し,Tgマウス卵巣において,外来性のエストロゲンシグナルがマウスのエストロゲン下流応答遺伝子の転写を上昇させることに成功し、また外来性シグナルが内在性のシグナルの制御を乱すことを見いだしている.加えて,発生初期にcaERαおよびcaERβ過剰発現した場合,致死であった. エストロゲンレセプターαβERダブルKOマウス卵巣において,興味深いことに形態的にセルトリー細胞様の構造が卵巣で形成されていることが報告された.この結果を考慮しても,本研究テーマである男性の生殖器官のみならず,女性の生殖器官でも性分化の可塑性が存在することが示唆され,生殖腺の分化前後でステロイドホルモンが合成される前に,エストロゲンシグナルを過剰に発現させる系を確立し,ほ乳類卵巣におけるエストロゲンシグナルと性分化の可塑性を検討する. 本年度は,エストロゲンシグナルを全く持たないAromatase KOマウスの供与および準備を行い、既に作製済みのコンディショナルトランスジェニックマウス(caERαおよびcaERβ)に生殖腺特異的(E11-12)にCre組換え酵素を発現するため、AMH(MIS)プロモーター支配下にCreを発現するトランスジェニックマウスの作製を行った.
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