2005 Fiscal Year Annual Research Report
生殖管の器官形成におけるMAGUK蛋白質DLGの機能解析
Project/Area Number |
17052025
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
向後 晶子 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (20340242)
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Keywords | DLG / 尿管 / ミュラー管 / ウォルフ管 / 発生 / ノックアウトマウス / 上皮 / 形態形成 |
Research Abstract |
これまでに、出生直前の雌のDLG KOマウスでは膣が形成されないことを明らかにしてきたが、今年度は生殖管の形態形成過程を詳細に解析した。ミュラー管、ウォルフ管はPax2陽性であったため、発生過程の泌尿生殖器部分を抗Pax2抗体でホールマウント染色し、胎仔期の生殖管の詳細な形態観察を可能にした。まず野生型マウスにおける生殖管の発達過程を観察したところ、胎生14.5日までに下方に伸長してきた左右のミュラー管の下部が、胎生15.5日までに癒合することが示された。この膣の内腔は次第に下方へ拡大し、出生直前には子宮頸部と尿道の背面に観察される膣腔の上部へと発達していた。この過程をDLG遺伝子KOマウスで観察すると、ミュラー管の伸長が遅延し、さらに左右のミュラー管の癒合がまったく起こらず、左右ミュラー管の下端はいずれも尿道上端付近の高さで閉塞していた。組織学的には、KOマウスではミュラー管上皮周囲の結合組織の癒合も見られず、これらの組織を構成する細胞の性質や挙動が野生型マウスと著しく異なることが明らかになった。 また、DLGの、発生期の上皮細胞における機能を明らかにするため、胎生12.5日の尿管上皮細胞の増殖率を比較したところ、KOマウスでは野生型に比べて細胞増殖率が低下していた。この結果は、DLGは細胞増殖を負に制御するという従来の考え方が、少なくとも発生期の泌尿生殖管上皮については該当しないことを示しており、DLGの分子機能の多様性を示唆している。さらに、腸管上皮細胞でDLGは、細胞間接着因子であるE-cadherinの細胞内局在を規定すると報告されているが、胎生期のDLG KOマウスの尿管上皮細胞でE-cadherin分子は野生型と同じ細胞側壁部に局在しており、この細胞ではE-cadherinの局在にDLGが必須ではないことが示された。発生期の上皮細胞におけるDLGの分子機能を解明するため、現在さらに詳細な解析を行っている。
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Research Products
(2 results)