2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウス脳における性差形成の基盤となる核内受容体のエピジェネティック制御とその改変
Project/Area Number |
17052028
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
今村 拓也 基礎生物学研究所, 行動生物学研究部門, 助手 (90390682)
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Keywords | マウス / アンドロジェン / エストロジェン / 神経核 / 脳 / トランスジェニック / DNAメチル化 / 核内受容体 |
Research Abstract |
ほ乳類において、ゲノムDNAのメチル化は細胞の分化全能性を制限し、個体に特徴的な遺伝子発現機構に関与している。脳の性的二型性に関連するといわれてきた遺伝子群は、雌雄に共通して存在する染色体上にあることから、その発現差違の形成はDNAメチル化を含むエピジェネティック制御下にあることは間違いない。本年度は、ホルモン情報伝達系に中心的役割を担う核内受容体遺伝子群(エストロジェン受容体ERα、アンドロジェン受容体AR)について、神経核レベルでのDNAメチル化状況とその性差形成を中心に解析した。 プロモーター領域を含む転写開始点上流のメチル化状況をバイサルファイトシークエンス法により調べたところ、視索前野、分界条床核、腹内側核、海馬、扁桃体、弓状核において、-200bpから-1kbまでに神経核毎にメチル化パターンの異なる領域があることが明らかとなった。ERαの場合、オスにおいては調べた神経核間での差違は認められなかったが、メスにおいては分界条床核のみ高メチル化状況にあった。同様に、ARにも性差が認められ、腹内側核においてメチル化状況が異なっていた。以上より、エストロジェン、アンドロジェン、プロジェステロンいずれの受容体のメチル化状況にも組織/雌雄特異性を認めており、脳の性差形成には発達早期からのエピジェネティックな機構が機能していることが示された。更に、得られた性特異的メチル化のシスエレメントをプローブとして、ゲノム上の性差記憶に関わる候補であるRNA分子群の取得に成功した。これらのRNA分子についてin vivoとin vitroの両側面から強制発現系を新規に構築し、次年度における機能解析のための材料を整えた。
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