2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17052030
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
渡部 美穂 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特別協力研究員 (10399321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋倉 淳一 生理学研究所, 発達生理学研究系, 教授 (50237583)
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Keywords | 神経科学 / GnRH / 性差 / KCC2 / GABA / 視床下部 |
Research Abstract |
雌ラットでは、4日に一度、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の大量分泌が起こり、その結果、黄体形成ホルモンが分泌され、排卵が引き起こされる。一方、雄ラットではGnRHの周期的な大量分泌が起こらないため、性周期を示すことはない。GnRHニューロンの制御機構およびその性差のメカニズムは明らかになっていない。そのメカニズムとして、視床下部に散在するGnRHニューロンの活動が同期している可能性が考えられる。一方、未熟動物の多くの脳部位において多数のニューロンが同調して活動するメカニズムとしてGABAの興奮性作用が注目されている。GnRHニューロンに対するGABAの作用を調べたところ、GABAは、雌ラットでは90%、雄では50%のGnRHニューロンで細胞内Ca^<2+>を上昇させ、興奮性として作用していることが明らかになった。GnRHニューロンの株細胞であるGT1-7細胞を用いて、Cl^-を細胞外にくみ出すトランスポーターであるK^+-Cl^- cotransporter (KCC2)の発現をウエスタンブロッティング、免疫染色法により調べたところ、KCC2の発現はみられなかった。また、GT1-7細胞にKCC2を強制発現させたところ、GABAの作用は抑制性に変化した。よって、GnRHニューロンのautocrineのメカニズムにより、活動依存的にKCC2の発現を抑制し、GABAに対する反応を興奮性にしている可能性が考えられるため、現在、in vivoでGnRHニューロンにKCC2をレンチウイルスを用いて強制発現させ、性周期への影響を調べている。また、Ca^<2+>オシレーションの同期を記録するための視床下部のスライス培養系を確立し、GnRHの合成阻害やGnRHニューロンの活動性抑制によるCa^<2+>オシレーションの同期の変化やKCC2の発現の変化を検討中である。
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