Research Abstract |
本特定領域では,分子量が1億Daに及ぶ超分子の構造解析が計画されているが,超分子の構造解析を行うには,ソフトウエアの点からも,様々な新技術の開発が必要である.新技術を最も必要とするプロセスの1つとして構造の精密化がある.通常,精密化する際のマニュアルフィッティングは人の熟練度に依存し,時間もかかる.分子量数万Daの蛋白質の精密化でさえも数週間から数ヶ月かかり,分子量数十万から数百万の超分子構造の精密化では,さらに数十倍の時間と労力が必要になる.分子量1億Daの超分子構造の精密化では,数百万残基を取り扱うことになり,マニュアルによるフィッティングはもはや不可能である.従って,分子量が1億Daに及ぶ超分子の構造解析では,精密化のすべてをコンピュータで自動化する必要がある.よって,我々はハイスループットために開発している自動精密化ソフトウェアLAFIREを巨大超分子に適用する.超分子の構造解析には,初期モデルが断片的,側鎖のアサインができない場合が多いので,我々は主鎖の断片をつなぎあわせ,より大きな断片にしていくアルゴリズムを開発し始めた.幾つかの方法を試した結果,動的計画法を用いて側鎖をアサインメントしながら,断片をつないでいく方法が有効であった. これまでのテストおよび実際への応用の結果,主鎖の断片をつなぐ際に,残基を間違って挿入したり,欠失させたりするミスが起こりやすいことが判明した.この問題を解決するために,側鎖の情報を利用しながら,断片をつないでいく方法を導入した.そのためには,まず,電子密度マップから側鎖領域を抽出する.側鎖の長さ為L_j^<cal>を見積る.そして,既知のアミノ酸配列から,計算した理想的な側鎖の長さL_j^<ideal>を用いて,動的計画法を用いて最小のD(i)=Σ_<i.N-nf>(L_j^<cal>-L_j^<ideal>)を探索することによって側鎖のアサインを行う.
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