2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーション支援による生体超分子複合体の構造・機能解析
Project/Area Number |
17053013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 春木 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (80134485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 康滋 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任助教授 (40248753)
中島 伸介 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 科学技術研究員 (60324852)
神谷 成敏 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 科学技術研究員 (80420462)
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Keywords | 生物物理 / 酵素反応 / 蛋白質 / 生体分子 / 分子動力学 / 量子化学 / 分子シミュレーション / 生体超分子複合体 |
Research Abstract |
生体超分子の構造多型に対処するため、あらかじめ生体分子複合体を構成するループやflexibleな部位で複合体形成時にinduced fitを起こす部位に対して、自動的にマルチカノニカル・アンサンブルを生成するForce-biasedマルチカノニカル分子動力学計算法によって、とりうる立体構造をその生成確率と伴に求めることができた。 古典力学による分子シミュレーション計算(MM)プログラムと量子化学計算(QM)との直接的な融合をめざすhybrid-QM/MM計算において、QMで取り扱う領域の電子状態計算において、MMで扱う周囲のタンパク質・溶媒の影響を高い精度で取り入れるため、QM/MM境界に対して新たに擬QM空間を導入し、そこに局在化軌道を利用する新しいアルゴリズムをプロリン・シス-トランスイソメラーゼへ応用し、酵素反応におけるエネルギー地形の解析を開始した。 一方、シトクロムc酸化酵素におけるプロトン輸送経路および機構を明らかにするため、密度汎関数法によってペプチド結合を介したプロトン輸送経路の可能性を検証した。プロトン移動が関わるペプチド結合(Tyr440-Ser441)、プロトンの供与体(H_3O^+)、受容体(Asp51)からなるモデルに対して密度汎関数法(B3LYP/6-31+G(d))を適用した。得られたプロトン移動の経路は、ペプチド結合を介したプロトンのカルボン酸への移動とケト-エノール互変からなる。理論計算から、提唱されている輸送経路でのペプチド結合を介したプロトン移動はケト-エノール互変が律速段階であることがわかった。またその反応機構は直接エノールにあるプロトンがアミド窒素に移るのではなく、水分子と隣接するペプチドのアミド基とでプロトンの受け渡しを行う、プロトンワイヤモデルで説明できることを明らかにした。
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