2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17054013
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
澁谷 浩司 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 教授 (30261324)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 美善 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (70508332)
|
Keywords | NLK / p38 / 頭部形成 / 結合因子 / アフリカツメガエル / Mo / シグナル / リン酸化 |
Research Abstract |
NLKは、Drosophilaの複眼の細胞極性、翅の形態形成、表皮のパターニングを担うNemoの相同遺伝子として単離されたMAPキナーゼ様セリン・スレオニンキナーゼである。NLK1と相互作用する分子群を網羅的に検索したところ、MAPキナーゼファミリーの一つであるp38βが単離され、アフリカツメガエルおよび培養細胞系を用いた機能解析により以下の事を明らかにした。1)培養細胞系においてp38α、p38βはともにNLKと会合した。2)ツメガエル胚において、神経形成期でのxNLK1、xN正K2、p38α、p38βの4つの遺伝子の発現は全て頭部前方領域において重なっており、MOを用いてそれぞれの遺伝子の機能を消失させると、xNLK1、xNLK2、p38βの3つの遺伝子に関して頭部前方領域の形成不全が確認された。一方、p38αの機能消失は頭部形成に影響を与えなかった。3)p38βはxNLK1のN末端付近のセリン残基をリン酸化し、xNLK2ではC末端付近のセリン残基を特異的にリン酸化した。p38βの機能消失による表現型は、野生型xNLK1と同様に、xNLK2の強制発現では回復されたが、p38βによるリン酸化部位をアラニンに置換した変異型xNLK2では回復されなかった。4)xNLK1の機能消失による表現型は、野生型xNLK2の強制発現で、xNLK2の機能消失による表現型は、野生型xNLK1の強制発現で回復された。今回得られた新たな知見は、ツメガエルに存在するxNLK1及びxNLK2の両遺伝子のp38によるリン酸化修飾を介した機能制御が頭部前方領域の形成過程に重要であることを示唆した。さらに頭部前方領域の形成過程でのp38αとp38βの機能の違いを含めて、p38-NLK経路の神経形成期でのシグナル伝達の多様性を明らかにした結果である。
|