2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝情報発現を転写伸長段階で制御するDECODE複合体の機能・構造解析
Project/Area Number |
17054014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 忠士 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 講師 (60262309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 宏 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80107432)
濡木 理 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (10272460)
山口 雄輝 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (50345360)
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Keywords | 転写 / 遺伝子 / 構造 / 蛋白質 / 生体生命情報学 |
Research Abstract |
申請者らは、RNAポリメラーゼIIによる遺伝情報の読み取り速度を可変しDECODE回路への情報の流れを制御するDECODE複合体を発見し「転写反応の分子スイッチ」と命名した。それは、転写伸長因子DSIFとNELFによって構成され、キナーゼP-TEFbがセリン・スレオニンのリン酸化でON/OFF活性を調整する。本年度は、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。HeLa細胞においてDSIFp160/hSpt5をノックダウンすると細胞は5日目以降、アポトーシスを引き起こした。ノックダウン4日目でマイクロアレイ解析を行なうと、1%程度の遺伝子が有意に2倍以上、その発現が増加または減少していた。NELF-Eをノックダウンすると細胞死は見られず、ノックダウン6日目で1%程度の遺伝子が有意に2倍以上、増加または減少していた。NELF-A^<-/->マウスは胎生致死で、-/-胚は着床までは一見正常に発生するが、着床後のThieler stage (TS)7の段階で発生を停止する。+/+胚あるいは+/-胚と-/-胚との間で差次的に発現している遺伝子を調べ、-/-胚において有意に2倍以上発現が増加している約400遺伝子と、減少している約300遺伝子を特定した。ゼブラフィッシュSpt5(zSpt5)のノックダウンをアンチセンス法で行うと、発生は約24時間で停止し、マイクロアレイ解析から約23,000種(Ensembleによる推定値)の遺伝子の約5%程度の発現が有意に2倍以上、増加または減少していた。またhSpt5はP-TEFbによってリン酸化されるGly1-Ser2-Arg/Gln3-Thr4-Pro5という5アミノ酸のリピート配列を含む。in vivoでThr4はc-fos遺伝子上におけるEGF刺激後のRNAポリメラーゼIIの効率的な転写伸長に重要であることがわかった。
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