2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝情報発現を転写伸長段階で制御するDECODE複合体の機能・構造解析
Project/Area Number |
17054014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 忠士 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 助教授 (60262309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濡木 理 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 教授 (10272460)
山口 雄輝 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 助手 (50345360)
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Keywords | 転写 / 遺伝子 / 構造 / タンパク質 / 生化学 / サイトカイン / マイクロアレイ / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
肝臓がん由来のHepG2細胞をサイトカインIL-6で刺激するとJunBの発現が促進される。クロマチン免疫沈降法を用いてDSIF、NELF、RNAポリメラーゼIIの分布をIL-6添加前後で解析すると、IL-6による遺伝子発現の活性化にかかわらず転写開始部位より下流約50塩基対のところにDSIF-NELF-RNAポリメラーゼIIが高濃度に存在することを見出した。RNAiでNELF-EをノックダウンするとIL-6による活性化レベルがさらに上昇することから、DSIFとNELFが遺伝子発現レベルの抑制に関与することがわかった。ゼブラフィッシュを材料としてマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析の結果、赤血球分化に関与するgata1の発現がDSIFによって制御される可能性が示唆された。そこでin situハイブリダイゼーション法により造血関連遺伝子群について詳細な解析を行い、骨髄系細胞の分化に関与するpu.1においてもDSIFで制御される可能性が見出された。また今年度は、NELF-Aノックアウトマウスの解析を引き続き行い、マイクロアレイ解析などの結果、-/-胚では約700遺伝子の発現が有意に変化し、特にMash2、AP-2γ、prolactin-like proteins、cathepsinsといったtrophoblast特異的遺伝子の発現が顕著に亢進していることが分かった。このことから、NELF-Aが初期マウス胚の分化過程に関与していることが示唆された。NELF-A-/-マウスは胎生致死で、-/-胚は着床までは一見正常に発生するが、着床後のThieler stage (TS) 7の段階で発生を停止するので、-/-マウスからES細胞を樹立し、得られた-/-細胞は+/+細胞と同様にfeeder上で維持できたので、NELF-Aはこの条件では細胞の生存に不要であることが分かった。
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