2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝情報発現を転写伸長段階で制御するDECODE複合体の機能・構造解析
Project/Area Number |
17054014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田 忠士 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (60262309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濡木 理 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (10272460)
山口 雄輝 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (50345360)
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Keywords | 転写 / 遺電子 / タンパク質 / ノックアウトマウス / 発現抑制 / 分化 / マイクロアイレ / ゼブラフイッシュ |
Research Abstract |
mRNA合成速度を可変するDECODE複合体は、細胞の発生や分化、癌化過程に関与する。その複合体は、情報読み取り速度を可変することでDECODE回路への情報の流れを制御する。具体的には、転写伸長因子DSIFとNELFによって構成され、キナーゼP-TEFbがセリン・スレオニンのリン酸化でON/0FF活性を調節する。今年度は、試験管内転写実験によりモデル転写因子Ga14-VP16による転写反応の活性化にDSIFとP-TEFbが必須で、DSIFは伸長反応中のRNAポリメラーゼIIの一時停止を回(ポジティブ効果)することを明らかにした。またDSIFのサブユニットの一つであるゼブラフィッシュzSpt5のモルフォリノオリゴによる発現抑制を行い、マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析から赤血球特異的転写因子gata1の発現が低下することがわり、in situハイブリダイゼーション法とレスキュー実験により、gata1遺伝子の発現上昇はDSIFのポジティブ効果に依存することを明らかにした。今年度は、NElF-Aノックアウトマウスの解析を引き続き行った。-/-マウスは早期の胎性致死となるが、そこから単離した-/-ES細胞はfeeder上で増殖することが前年度までに明らかとなったので、NELFが細胞の分化過程に関与するとの予想をたて、ES細胞の多分化能をin vitro分化系により検討した。その結果、-/-細胞では調べた多くの組織特異的マーカーが誘導発現されないことが分かった。ES細胞では繊維芽細胞などの分化した細胞と較べて、転写開始後に制御されている遺伝子が多いことが他のグループによって報告されており、そういった知見も考え合わせると、NELFが特定の分化過程というよりも、もっと根本的な過程-多能性細胞が分化に踏み出す最初のステップーに寄与しているのではないかと考えられる。
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