2005 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン形成因子とヒストン修飾酵素のクロストークの解明
Project/Area Number |
17054023
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
長田 茂宏 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (40263305)
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Keywords | 遺伝子発現制御 / クロマチン / ヒストン / エピジェネティクス / サイレンシング / ヒストンアセチル化酵素 / クロマチン形成因子 |
Research Abstract |
遺伝情報の正確な読み出しには正と負の両方の制御が重要であり、そして、エピジェネティクス制御因子による遺伝子発現制御機構の解明に必要である。そこで、活性・不活性クロマチン領域の両方に存在するクロマチン形成因子とヒストン修飾酵素複合体の相互作用の解析から、エピジェネティクス制御因子を介した遺伝子発現制御機構の解明を行った。研究代表者は酵母のサイレンシング制御に関与するヒストンアセチル化酵素であるSAS複合体とクロマチン形成因子Asflpの機能解析を生化学的・遺伝学的に行ってきた。SAS遺伝子が関与するサイレンシング遺伝子座のひとつであるHMLα座におけるSAS複合体とAsflpの局在を検討した。その結果、SAS複合体のHMLα座局在にはASF1は必要であったが、サイレンシングに重要なSIR1,SIR2は必要でなかった。一方、SAS複合体の活性サブユニットをコードするSAS2とSIR1の二重破壊はサイレンシングに必須なSir2pのHMLα座局在を失わせ、逆にテロメア領域におけるSir2pの局在を増加させた。これは、SAS2とSIR1の二重破壊により、細胞内の限られた量のSir2pがテロメア領域に移行したために、HMLα座局在が減少したと考えられた。 AsflpはSAS複合体以外にも遺伝子発現に関与する複合体と相互作用することが報告されている。新たなAsflp相互作用因子をGST融合タンパク質を用いたpull down assayと質量分析解析により探索した結果、機能が未知の因子(p130)と相互作用することが示された。その他にAsflpはSAS複合体以外のヒストンアセチル化酵素複合体のサブユニットとも相互作用することが明らかとなった。クロマチン形成因子とこれらの因子との機能的相互作用の解析により、エピジェネティクス制御因子を介した遺伝子発現制御機構の一端が解明された。
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Research Products
(1 results)