2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17054029
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 陽介 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90183855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 優 独立行政法人産業技術総合研究所, チームリーダ (40357348)
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Keywords | ジベレリン / 転写調節因子 / フィードバック / 信号伝達 |
Research Abstract |
ジベレリン(GA)は植物の伸長成長に顕著な促進作用を示す植物ホルモンである。本研究の目的は発生のプログラムと環境刺激がいかにしてGAの内生量を調節しているかを解明することにある。GA信号伝達の主要な経路では、核に存在する信号伝達の抑制因子DELLAの安定性の制御が重要である。細胞のGA濃度が低い時、DELLAは安定であり、GAの応答を抑制している。細胞がGAを受容すると、DELLAタンパク質はユビキチン-26Sプロテアソームで分解される。その結果、DELLAタンパク質によるGA応答の抑制が解除され、植物の成長が誘導されると考えられている。DELLAタンパク質は核内タンパク質であるが、その機能は不明であった。本研究ではGA信号伝達解明の鍵となる、DELLAタンパク質と相互作用する因子GAF1(GAI Associated Factor 1)の解析を行った。DELLAは酵母内で転写促進活性を示す。GAF1の個体における機能を調べるためにGAF1を過剰に発現する形質転換シロイヌナズナを作製した。この形質転換体は、野生型植物に比べて顕著に背丈が高く、花芽形成が促進されており、GAを投与されたかのような形質を示した。さらにこのGAF1過剰発現形質転換体ではGAに対する感受性が高く、GA合成阻害剤に対する抵抗性が上昇していた。これらの結果はGAIと相互作用するGAF1はGAの信号伝達を促進する転写因子であることを示唆している。GAの内生量が低くなるとGA生合成の終盤反応を触媒するGA3-酸化酵素とGA20-酸化酵素をコードする遺伝子の転写量が増大することでGAの恒常性が維持される。ボンバーバートメント法による解析の結果、GAF1はこれらのGA生合成酵素遺伝子の転写を直接活性化することが明らかになった。GAF1はGAのフィードバック制御に関与すると示唆された。
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Research Products
(14 results)