2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17059002
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
藤本 健造 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教授 (90293894)
|
Keywords | 光ライゲーション / 光解裂 |
Research Abstract |
遂行的処理を行う現存のコンピューターが苦手とするNP完全問題の解法に対し、並列処理能力に優れたDNAコンピューターの可能性が示されて以来、様々DNAコンピューティング法が開発されてきた。しかし、その原理の多くはハイブリダイゼーション特異性のみを用いた処理であったため、SNP診断と同様処理過程でのエラーといった問題が残った。そこで、エラーを抑制できる可逆的光連結反応を用いたDNAコンピューティング法を開発した。ハイブリダイゼーション・熱変性で行ない解候補DNAのキャッチ&リリースを光照射による連結・切断に置き換えた系を設計しSAT(充足可能性)問題を解いた。結果、処理過程でのエラーがなく非常にS/N比の高いコンピューティングに成功した。本法は、DNAの分枝型連結を使うことで実現可能な系であり、酵素による代行はできず、可逆的光連結反応でのみ構築が可能である。また、ハイスループットコンピューティングを可能にする分枝型DNAの新規合成法を開発した。次に、コンピューターの基本であるロジックゲートをDNAで構築することを試みた。ロジックゲートは3つの基本要素(NOT、AND、OR)から成り、全ての回路がこれら3要素から構築可能である。光化学的なDNAロジックゲートを設計するにあたり、配列特異的に切断できる新しい光反応を開発した。増感剤であるカルバゾールを相補配列(インプット配列)に導入することで、還元的に光連結部位を配列特異的に切断することが可能になり、これまでのように溶液中の光連結産物(ゲート)を無差別に切断するのではなく、目的のゲートのみを切断できるため、ゲートの並列処理が可能となった。初めに3つの基本ゲートを構築し、カルバゾールが導入されたDNAを入力した結果、真理値表と完全に一致した出力が観測された。これら基本ゲートの設計法を用いることであらゆる回路が構築できる。
|
Research Products
(5 results)