2005 Fiscal Year Annual Research Report
西アジア旧石器時代の行動進化と定住化プロセスの関係
Project/Area Number |
17063002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 宏之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (50292743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 克彦 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 教授 (70152204)
橘 昌信 別府大学, 文学部, 教授 (90078832)
安斎 正人 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (60114360)
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Keywords | 考古学 / 先史学 |
Research Abstract |
本研究は、特定領域研究「セム系部族社会の形成」の計画研究に相当し、西アジアにおける部族社会の形成プロセスの初期段階を、現代人の出現過程にまで遡及し、後期旧石器時代から新石器時代にかけての人類の行動進化と定住化プロセスの中に探ることを目的としている。 研究初年度にあたる平成17年度は、上記の研究課題を遂行するための資料収集とその整理に重点を置いて、研究を進めた。 (1)西アジアおよび世界各地の行動進化と定住化過程論に関する文献資料等の収集とデータ集成を開始した。 (2)(1)に関連して、研究分担者の安斎が1978-79年に撮影したバクダッドのイラク国立考古学博物館の考古資料の写真画像245点を画像データベース化し、本特定領域のホームページ上で公開した。本資料は、最近のイラク戦争によって壊滅的な破壊と略奪を受けているため、それ以前の現状を把握できる貴重な資料となった。 (3)西アジアの後期旧石器集団は、遊動型狩猟採集民であり、当該地域の環境変動のもと、長期にわたる試行錯誤の過程をへて、完新世以降農耕・牧畜社会に移行したが、このシナリオは東アジア・北東アジア・北米等の世界の他地域で組み立てられつつある定住化過程論との詳細な比較が必要となる。そのため、今年度は、ロシア・北シベリアのヤクーツクにおける関連資料の調査と、アメリカ合衆国における西アジア関連資料の調査を実施した。ヤクーツクでは、北方寒冷気候に対する人類の行動進化と定住化過程の多様性の比較研究を行い、アメリカでは、西アジア旧石器研究の基準資料であるクサル・アキル遺跡、エル・ワド洞窟遺跡、ケバラ洞窟遺跡等の資料の実見調査を行った。
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