2007 Fiscal Year Annual Research Report
西アジア旧石器時代の行動進化と定住化プロセスの関係
Project/Area Number |
17063002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 宏之 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50292743)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 克彦 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 教授 (70152204)
橘 昌信 別府大学, 文学部, 教授 (90078832)
安斎 正人 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (60114360)
|
Keywords | 考古学 / 先史学 / 旧石器時代 / 西アジア / シリア |
Research Abstract |
本研究プロシェクトは、特定領域研究「セム糸部族社会の形成一ユーフラテス河中流域ビシュリ山系の総合的研究-」の計画研究に相当し、西アジアにおける部族社会の形成プロセスを、現代人の出現過程にまで遡及して、後期旧石器時代から新石器時代にかけての人類の行動進化と定住化プロセスの中に探ることを目的としている。 研究第三年度にあたる平成19年度は、上記の課題を遂行するために、前年度に引き続き、資料調査とその整理に重点を置いて研究を進めた。同時に理論的検討も行った。 1.調査許可の取得の関係で遅れていた領域共通調査フィールドであるシリア・ビシュリ山系の現地踏査を実施した。内陸と川沿いにおける旧石器時代〜前期新石器時代の遺跡分布の差異が把握され、居住システムのモデル化に関する具体的な資料が得られた。 2.比較資料の調査として、現代人の拡散ルート上に位置するギリシャと、更新世から変わらず非遊動型行動システムが展開していたベトナムの旧石器時代の資料調査を行った。 3.従来の人類学・考古学理論では、部族社会の出現は定住新石器時代になってからと考えられてきたが、この段階ではすでに完成された部族社会となっている。従って、旧石器段階における分節社会の出現プロセスを解明せねばならない。そのため、理論的射程を転換し、祭祀行動に着目して分析を行った結果、いびつではあるが萌芽的な分節社会が後期旧右器時代の開始とともに出現していた可能性が高いことがわかった。
|