2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17063004
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤井 純夫 金沢大学, 文学部, 教授 (90238527)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 拓朗 金沢大学, 中近東文化センター, 研究員 (90276006)
|
Keywords | セム系 / 部族社会 / 遊牧民 / 墓制 / ビシュリ山系 |
Research Abstract |
本年度の目標は、1)ヨルダン南部ジャフル盆地における各種墳墓調査の資料整理を継続し、同地域における基制編年を確立すること、2)シリア東部ビシュリ山系における分布調査に着手し、同地域における墓制編年確立のための基礎的なデータを収集すること、3)イエメン、レバノン、サウジアラビア方面の短期踏査を実施し、西アジア北半のシスト墓文化に対峙する円筒墓文化の比較資料を収集すること、以上の3点であった。 第一の目標については、青銅器時代のシスト墓が前庭型から回廊型に変化したこと、前者は天水農耕地帯縁辺部に位置する半農半牧民の墳墓であるのに対して、後者は乾燥地内奥にまで拡散した遊牧民の墳墓であること、などの重要な結論が得られた。これによって、先土器新石器時代の移牧民による壁際廃屋葬→後期新石器時代の初期遊牧民による擬住居ケルン墓→銅石器時代の遊牧民による各種擬壁ケルン→前期青銅器時代半農半牧民による前庭型シスト墓→前期青銅器時代遊牧民による回廊型シスト墓、というジャフル盆地墓制編年の骨格を形成することができた。 第二の目標については、ビシュリ山系西端の分布調査によってサビーエ・ケルン墓群を確認したことが、具体的成果である。これによって、次年度以降の調査方針を定めることができた。また、ジャフル盆地で蓄積してきた墓制編年の基礎データが、ビシュリ山系のケルン墓調査にも適用できることを確認した。 第三の目標についてはイエメン西部における円筒墓群の踏査を実施し、アラビア半島縁辺部における円筒墓文化の基礎資料の充実を図った。
|