2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17064012
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
広瀬 喜久治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10073892)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 英和 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80170463)
稲垣 耕司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50273579)
小野 倫也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80335372)
|
Keywords | 第一原理電子状態計算 / 電気伝導特性 / ナノストラクチャー |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究代表者らが独自に開発した第一原理電気伝導計算手法に基づく計算プログラムを用いてマテリアルデザインを行う。具体的には、電極間に構築された原子・分子細線やナノチューブ、フラーレン鎖、生体分子などの電子輸送特性を理論的に予測する。 今年度は、これまで大型計算機センターのスーパーコンピュータでしか行えなかったナノ構造の電気伝導特性計算を、研究室で購入したワークステーションでも行えるように計算の簡素化とサブルーチンライブラリの整備を行った。そして、改良したプログラムを用いて、ナトリウム単原子鎖について、半無限結晶電極間に挟まれた原子3つからなるナトリウム単原子鎖を折れ曲がった状態から引き伸ばしていく際に電気伝導特性がどのように変化するかについての計算を行った。この計算により、単原子鎖の伝導に関わるチャネルは常に1つしか存在せず、そのコンダクタンスは破断するまでほぼ1G_0の値をとるという、実験と同じ結果が得られた。また、電流密度の分布は単原子鎖の形状にほとんど影響を受けておらず、このことがナトリウムナノワイヤーの引張り実験においてコンダクタンスが安定した値をとる理由であることを示した。さらに、金やナトリウム原子鎖におけるコンダクタンスの振動現象について詳細な解析を行った。この研究から、電極間に挟まれた有限長の単原子鎖におけるコンダクタンスの振動周期が、無限長の単原子鎖における電子のフェルミ波数によって決まることを明らかにした。また、伝導電子の密度分布にコンダクタンスの振動周期と同じ長さを持つ塊が形成され、この塊の長さと振動周期との関係が無限長の単原子鎖の性質に強く影響されるという新たな知見を示した。
|
Research Products
(3 results)