2007 Fiscal Year Annual Research Report
高圧極限環境を活用した物質合成シミュレーション手法の開発・応用
Project/Area Number |
17064013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長柄 一誠 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (10135676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下司 雅章 ナノサイエンスナノテクノロジー研究推進機構, 特任助教 (70397660)
小田 竜樹 金沢大学, 自然科学研究科, 准教授 (30272941)
長尾 秀実 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (30291892)
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Keywords | メタダイナミクス / 高圧 / 構造探索 / ハーフメタル / p 電子強磁性体 / 圧力テンソル / 固体酸素 |
Research Abstract |
高圧環境下で、物質のとる構造を理論的に効率よく探索する方法の一つとして、メタダイナミクス法の研究を行っている。前年度のリンでの大きな成功に続いて、この手法の有効性を確認する目的で、さらにCaのIV相、V相の未知構造の解明に挑戦し、これらについても実験に先立って、有望な構造を特定した。まだ実験グループによる構造の発表はないが、情報交換で、これらの構造が正しいことを確認している。これらの結果はメタダイナミクスが実際に未知構造の予測構造の予測および決定に有望であることを、国内外でのはじめて示した例としての意義が大きい。またCaのIV相、V相は単体での最高超伝導転移温度が観測されており、構造決定はこの物質の超伝導機構の解明に大きく寄与をすると期待される。新物質合成の側面からは、P電子強磁性体であるCaプニクタイド、Srプニクタイドの強磁性メカニズムを研究し、解明した。CaやSrは電子をfccに配列したプニクトゲンに電子を2個供給し、p軌道が局在性を保持できる原子間距離を生み出す役割をしており、この状況はSlater-Statz-Kosterおよび金森理論で論じられる強磁性発現機構に類似している。岩塩構造CaNについては高温高圧合成法による合成プロセスの可能性も示した。物質シミュレーションの可能性を拡大するために、第一原理計算で扱いが難しい、あるいは構造や物性予測に成功していない物質を研究しておくことが重要である。その目的で酸素の高圧相および特殊な物質の構造研究も進めている。固体酸素では96GPa以上の高圧において、分子面(ab面)は非常に安定であると仮定して、積層の仕方によるエネルギーの違いを比較すると高圧側でABC積層型(A7構造)が安定であり、AB積層型がε相の特徴であり、ABC積層型がζ相の特徴であるとの知見を得た。またアルミナノワーヤーに関する構造安定性とフォノン物性に関する研究を行い、アルミジグザク形状の安定、準安定構造を見つけた。
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Research Products
(22 results)