2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17064014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 和則 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (60379097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 博 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (30133929)
DINH Van An 大阪大学, 産業科学研究所, 特任研究員 (20403008)
田畑 仁 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00263319)
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Keywords | 第一原理計算 / 材料設計 / スピンエレクトロニクス / 不規則系 / 希薄磁性半導体 / 交換相互作用 / 電子輸送特性 / コヒーレントポテンシャル近似 |
Research Abstract |
第一原理量子シミュレーションに基づいて新機能材料を探索する計算機ナノマテリアルデザインではより幅広い物質系について有限温度での磁性や輸送現象等を定量的に予測することが不可欠である。本研究計画は物性予測精度のきわめて高いマテリアルデザインエンジンの開発を目標としており、特に応用上重要かつ急務の希薄磁性半導体の正確なマテリアルデザインに力を入れる。本年度は主に以下3項目について成果があった。 (1)ハーフホイスラー希薄磁性半導体の材料設計 本研究ではハーフホイスラー合金のうち全磁気モーメントが0の半導体となる系に注目し(CoTiSbやNiTiSb)、その系にさらに磁性不純物を添加することで希薄磁性半導体としての可能性を調べた。計算方法としてはKKR-CPA-LDA法(MACHIKANEYAMA2002)を用いた。この系ではギャップ中に現れた不純物バンド(主にMnの3d状態からなる)中にフェルミレベルが位置しており二重交換相互作用により強磁性が安定化されるため、有効交換相互作用は比較的短距離の相互作用となっている。そのため室温以上で強磁性を得るためには30%以上の高濃度添加が必要であることがわかった。 (2)SIC-LDAのMACHIKANEYAMA2002への実装と希薄磁性半導体の材料設計 Filippettiらによって提案された自己相互作用補正法(Pseudo-SIC)をKKR-CPA電子状態プログラム(MACHIKANEYAMA)に実装し使用可能とした。典型的なII-VI族、III-V族希薄磁性半導体の電子状態、有効交換相互作用およびキュリー温度の計算を行った。 (3)局所環境効果を取り入れた希薄磁性半導体中の交換相互作用の計算 交換相互作用を計算する2つの不純物周りにクラスターを考え、それをCPA媒質中に埋め込むことで局所環境効果を考慮した交換相互作用の計算を行い以下のようなことを明らかにした。Liechtensteinの方法では近似されている不純物による多重散乱を我々の計算ではすべて取り入れている。そのため、ただ2つの不純物を入れた計算(2-impurity-embedding)においてもLiechtensteinの方法とは差がみられる。この効果は最近接原子間で大きく遠距離では両者は一致する。交換相互作用は磁性不純物の配置に大きく依存する。配置平均をとった結果は2-impurity-embeddingの値にほぼ一致する。
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Research Products
(6 results)