2005 Fiscal Year Annual Research Report
GW近似に基づくスピン・電荷・軌道偏極量子シミュレータの開発・公開
Project/Area Number |
17064015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
城 健男 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (20093487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小口 多美夫 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (90253054)
田中 新 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (70253052)
獅子堂 達也 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (20363046)
浜田 典昭 東京理科大学, 理工学部, 教授 (00126145)
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Keywords | スピン / 電荷 / 軌道偏極 / 酸化物 / GW法 |
Research Abstract |
1.マルチフェロイックス物質の電子状態 立方晶構造を仮定した第一原理計算から実際にBi_2CrFeO_6、Bi_2MnNiO_6、Bi_2CrCuO_6で強磁性秩序が実現されることが示された。このうち、Bi_2MnNiO_6は京大化研グループにより高圧合成を用いて実験的に作製され、BiMnO_3と類似の単斜晶構造を有し、強磁性及び強誘電性ともに示すマルチフェロイックであることが明らかにされた。 2.LaMnO_3とYTiO_3における軌道秩序とX線内殻励起線二色性 LaMnO_3とYTiO_3に対しLDAに基づく第一原理計算およびLDA+Uの計算を行った。LaMnO_3についてはLDA,LDA+Uともに、正しい軌道秩序を得ることを確認した。MnのK edge共鳴X線散乱の実験から、Mnの非占有p状態が偏極していることが知られているが、その起源をめぐっては、Coulombメカニズム(同一サイトの3d電子からのCoulombポテンシャルによりp状態が偏極)とJahn-Tellerメカニズム(隣接酸素のp軌道との強い混成の結果、Jahn-Teller歪みおよび結晶の対称性を反映しp状態が偏極)の間で論争がある。我々は第一原理計算から、Jahn-Tellerメカニズムが支配的であることを明らかにするとともに、これを実験的に確証する方法として、K edge X線内殻励起線二色性の実験を提案し、そのスペクトルの予言を行った。 3.GW法近似計算手法の開発 GW計算の全体設計についての検討を行った。GW計算で直接必要なのは分極関数や誘電関数ではなく遮蔽されたクーロン相互作用Wであるので、むしろこのWを直接求める方策を考えるのが適切と考えられる。このとき誘電関数行列の逆を取るのではなく、iterativeな方法を採用した方が良いかも知れない。こうしたいくつかの課題は今後実際のプログラミングを行い検証していく必要がある。
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