2006 Fiscal Year Annual Research Report
GW近似に基づくスピン・電荷・軌道偏極量子シミュレータの開発・公開
Project/Area Number |
17064015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
城 健男 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (20093487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小口 多美夫 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (90253054)
田中 新 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (70253052)
獅子堂 達也 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (20363046)
浜田 典昭 東京理科大学, 理工学部, 教授 (00126145)
舩島 洋紀 東京理科大学, 理工学部, 助手 (60434049)
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Keywords | スピン / 電荷 / 軌道偏極 / 酸化物 / GW法 |
Research Abstract |
本年度に得られた成果を以下に記す。 1.GW近似計算のためのFLAPW法による誘電関数計算コードの開発 GW法で本質的な役割を果たす誘電関数を平面波を基底関数として採用し、その対称化された行列要素の計算精度がどの程度平面波エネルギーのカットオフに依存するかを調べた。具体的に、MnO, Ni, Siを選び行列要素の計算を行った結果、カットオフとして20Ry程度を選ぶことにより、誘電関数が精度よく求まることを示した。これは波動関数のLAPW基底と同程度のカットオフであり、平面波基底による誘電関数の計算が十分実用に適した手法であることが明らかになった。 2.Bloch-Boltzmann理論による輸送係数の計算 熱電材料の物質開発に用いる目的でBloch-Boltzmann理論を用いた輸送係数の、第一原理計算に基づく計算プログラム開発を行った。具体的に六方晶Na_xCoO_2を選び、Seebeck係数を計算した。その結果、ab面内でのSeebeck係数の温度依存性は、Naの濃度x=0.55から0.66の領域で実験結果をかなりよく再現していることを示した。 3.BaVS_3における金属絶縁体転移の理論 BaVS_3は六方晶ペロブスカイト構造を持ち、VS_6八面体がc軸方向に1次元鎖を成す。この系で起こる金属絶縁体転移の機構を、周期的境界条件を課した8個のVイオンから成る1次元鎖を考え、軌道縮重、原子内クーロン・交換相互作用を考慮したハミルトニアンをランチョス法で取り扱うことにより調べた。その結果、この系の金属絶縁体転移は、強い電子格子相互作用に起因し、長周期の軌道秩序を伴っていること、またそれに伴う電荷密度波の振幅は小さいことを示した。またこれらのV-3d軌道占有から予想されるV-2P内殻X線吸収スペクトル線二色性を議論した。
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