2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17064017
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大野 隆央 National Institute for Materials Science, 計算科学センター, センター長 (30344435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主幹研究員 (50354147)
木野 日織 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (70282605)
西野 正理 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (80391217)
奈良 純 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (30354145)
館山 佳尚 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (70354149)
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Keywords | 大規模第一原理計算 / オーダーN法 / 膜タンパク質 / イオンチャネル / 励起エネルギー / TDDFT / スピンクロスオーバー / 相転移 |
Research Abstract |
ナノ構造全体を解析できる超大規模第一原理シミュレーション手法は、ナノ物質の示す構造・物性・機能を理解し設計するために不可欠な計算科学技術である。本研究課題では、超大規模解析が可能な第一原理オーダーN手法の開発を中心として、安定構造・反応経路探索法、伝導特性解析法、励起状態解析法等のナノ物質の解析に有効な手法を確立し、ナノバイオ系・ナノ触媒系への適用を図ることを目標としている。 本年度は、まずオーダーN法DFTプログラムCONQUESTを用いて、膜タンパク質gramicidin-A (gA)というイオンチャネルに対する理論研究を行った。この物質は膜タンパク質としてはとても小さいが、特殊な構造を持つ事、一価の正イオンしか透過させないという高い選択性を持つ事など興味深い性質を持つ。このタンパク質の周りの脂質分子や溶媒を含めた複雑系に対してオーダーN法第一原理計算による大規模シミュレーションを将来実現する為の準備段階として、孤立gA分子に対する研究を行った。いくつかのアミノ酸分子に対して計算に用いられる基底関数の精度を確認した後に、孤立gA分子に対する構造最適化計算を行い、実験結果との比較を行った。この系におけるオーダーN法による誤差の確認も行った。 また、擬ポテンシャル、平面波基底を用いて第一原理分子動力学法とTDDFTを組み合わせた手法を用いて水溶液中の過酸化マンガンの励起エネルギーの計算を行った。実験値との比較の結果、TDDFTの計算値が実験値を過大評価するという通常とは異なる結果を得た。このため、ガス系に対する励起エネルギーを他の計算手法も用いて詳細に調べた。 さらに、スピンクロスオーバー化合物に対してエントロピー効果を取り入れた計算方法を開発し、磁性状態から非磁性状態への転移における緩和過程の研究を行った。
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