2005 Fiscal Year Annual Research Report
超求電子性分子を用いる官能基芳香族化合物の多官能基化反応
Project/Area Number |
17065003
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大和田 智彦 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (20177025)
|
Keywords | 芳香族化合物 / 酸素官能基化 / 4H-1,2-benzoxazine / ニトロアルカン / ブレンステッド酸 / aci-ニトロ / プロトン化 / ニトロ基 |
Research Abstract |
我々は過去において、プロトン化によって生じる多価カチオン種の研究の一環としてニトロアルケンの反応を検討した。ニトロアルケンをベンゼン存在下強ブレンステッド酸であるトリフルオロメタンスルホン酸(TFSA)中で反応させると,新しいヘテロ環である4H-1,2-benzoxazineが収率良く生成することを明らかにした。また,ビフェニール体の副生を報告した。この反応は芳香族化合物の酸素官能基化の実現とともに酸素官能基化において従前の酸素原子のソースとして酸素分子や過酸化水素ではなく,ニトロ基の酸素原子を酸素源とする反応の可能性を示唆している。位置選択的な酸素官能基化を期待してニトロ基を酸素原子源とする分子内環化反応の開拓に着手した。 ニトロアルカンをブレンステッド酸(トリフルオロメタンスルホン酸等)で処理しても生成物は得られないが,アルカリ処理して,aci-ニトロ塩を作成して,トリフルオロ酢酸(TFA)に加えると収率は低いものの(27%)環化生成物4H-1,2-benzoxazineを得ることに成功した。この反応はニトロ基のα位の脱離によってaci-ニトロ中間体の生成が関与することを示唆すると考え,α位の水素原子の酸性を高めるためメチル基を電子求引性のエステル基として反応を行った。このニトロエステル体はトリフルオロメタンスルホン酸中で,aci-ニトロ塩を作成することなく環化反応が進行し,4H-1,2-benzoxazineが生成することを明らかにした。すなわち,本反応は,ニトロ基の酸素原子を芳香環上に(分子内反応ゆえ)位置選択的に導入する新反応である。ざらにベンゼン環の置換基効果について興味深い知見を得た。
|
Research Products
(2 results)