2006 Fiscal Year Annual Research Report
超求電子性分子を用いる官能基芳香族化合物の多官能基化反応
Project/Area Number |
17065003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大和田 智彦 東京大学, 大学院薬学研究科, 教授 (20177025)
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Keywords | 酸素官能基化 / 芳香族化合物 / フェノール合成 / 4H-1,2-ベンズオキサジン / ニトロ基 / ジカチオン / 強酸触媒 / 1,3-双極子環化 |
Research Abstract |
酸素官能基を有する芳香族化合物は天然物として重要な活性を示すものが数多く知られ、また応用化学の分野でも重要な基本骨格の1つである。既にいくつかの工業的、もしくは実験室レベルでの酸素官能基含有芳香族化合物の合成法が確立されているが、その反応基質に対する一般性や官能基化の位置選択性や化学選択性などに制限がある場合が多く、高効率的な芳香環の酸素官能基化反応の開発は重要な研究課題である。また、炭素-水素結合に対する直接的な官能基導入反応,すなわち,置換ベンゼンから置換フェノールを合成する反応の開拓は近年の有機反応化学分野における未開拓な研究課題の1つであり、新たな方法論の提示は基礎および応用有機化学に大きな意義を有すると考える。4斤1,2-ベンズオキサジン1はβ-ニトロオレフィンとベンゼンを基質とする強酸触媒反応の生成物として本研究者らによって初めて合成された新規ヘテロ環化合物である。本骨格はフェノール性酸素一窒素結合を含む特徴的な構造を有しており、新たな反応活性種o-ベンゾキノンメチド2やフェノール類3の前駆体となるなど合成化学的な有用性が示唆されている化合物である(Scheme 1)。また一連の環化反応は、二トロ基を酸素源として利用した芳香環の直接的な酸素官能基化反応として捉えることができる。ニトロ基はアミノ基もしくはカルボニル基への変換に用いられることが多く、ニトロ基の酸素原子が直接的に芳香環に導入されるような反応の開発は未開拓な斬新な研究課題であり,またその反応の展開の上でも反応機構にも興味が持たれる。そこで本研究者らは、より一般的な芳香環置換基を有する4H-1,2-ベンズオキサジンの合成反応を「置換芳香族化合物の酸素官能基化反応」と位置づけ,その開発とその反応の展開のために反応機構解析を行った。ジプロトン化によって生じるジカチオンの分子内1,3-双極子環化反応と結論した。
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Research Products
(5 results)